真崎です

沖縄にいます

「食えててすごいね」って言わないで

 

 

「会社を辞めて好きなことを仕事にするためにフリーのライターになってちゃんと食えててすごいね」

 

 

って、ボクの周りで真崎の話が出るよ。

 

そう前職時代の上司が教えてくれた。

嬉しかった。

 

 

嬉しかったけど、「食えてて」という言葉に、かつて 自分が感じてきた抑圧が重なる。

 

他意なく褒めてくれた上司の気持ちと裏腹に、わたしの心は少しチクリとした。 

 

 

  

塾講師時代、わたしの担当生徒に絵を描くことが大好きな女の子がいた。

 

彼女がpixivに投稿した絵を見ては「マジで上手いよね」といつも感嘆しながら伝えた。「でもこんなことできても将来食えないですけどね」と彼女は毎回言った。

 

照れ隠しの謙遜じゃない。

「将来食える保証のないスキルに価値はない」と本気で思っているトーンだった。

 

彼女の言葉を受けたわたしはTwitterイラストレーターアカウントの投稿を見せたりしながら「インターネットのおかげで素人の絵や文章が世に出るチャンスは格段に広がっているよ」みたいな話をした。

 

 

「食えるかどうか」の文脈に乗ってしまった。

わたしもズレていた。

 

 

法や倫理に背かないかぎり働き方や生き方に正解はない。「好き」を仕事にしようがしまいが「食えるかどうか」が基準になろうがなんでもいいしどうでもいい。すべては個人が好きに選択すればいい。

 

だけど子ども教育業界にいたときにわたしが感じたのは「将来食える仕事に就くこと、そのためのスキルや知識(ときに学歴)を身につけることが大正義」という空気だった。

 

家庭や学校。子どもの半径5mm圏内にいる大人たちが積極的にそんな空気を醸していた。

 

なんならわたしも無意識に出していたかもしれない。だって当時は「お金を稼いで生活していくためにも会社は辞められない」と思っていたもの。

 

 

 

 

「劇団の活動がすごく楽しくて、20代の中頃はバイトしながらずっと脚本書いて舞台やってた。真崎さんと同じ27歳くらいのときは貯金なんて1円もなかったよ」

 

そう笑う脚本家のお姉さんはめちゃくちゃセクシーだった。

 

好きのままに動き続けた結果、あるとき彼女の書いた脚本が全国放映されるヒット作になった。いまも脚本やライティングなど「書く」で食っている。

 

 

で。

 

このお姉さんがめちゃくちゃセクシーなのって、「食えてるから」じゃない。

 

 

それはそれでスゲーけど、そうじゃない。

食えるようになる前の話を聞いていても、お姉さんの生き方はすごく真っすぐで芯があってカッコよかった。

 

「食えててすごいね」じゃない。

それ以前の部分で、わたしにとっては、もうすでにめちゃくちゃすごくてクソカッコよかったんだ。

 

 

「食える」を、価値基準にしないで。

「食えてるからすごい」にしないで。

 

 

食えようが食えまいが関係ない。

「好き」は遠慮なく愛でてよ。 

 

食えない「好き」を無価値にしないでよ。

あなたの大切な「好き」でしょう。

好きなだけで最強の価値でしょう。

人生を楽しくするのは「好き」の濃度でしょう。

 

「好き」を「食う」に変えることもできる。

「変える必要」すら別にない。

 

それも含めて個々の自由で正義でしょう。

押しつけないで。

押し込めないで。

 

 

「食えててすごいね」って言わないで。

 

そんなのどっちだっていいよ。

 

 

真崎

 

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社会不適合なゴリラがヘルシーに生きるためのリカバリー術6選

 

 

ヒト科ヒト属ヒトな両親から生まれた純ヒトがある日突然ゴリラになったりするからこの世は不条理。

 

 

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「社長のやってることは本質的な教育でもなんでもなく社長の正しさの押し付けじゃないんですか!!」とうっかり全力で噛み付いてしまい、生意気なだけで1円も利益をあげないお荷物社員として即刻クビになったのが新卒1社目の話。

 

いつもはただの人畜無害な一般人だけど、どうやらある条件下においてはわたしの中のゴリラが発動するらしい。

 

ここ最近とても久々に内なるゴリラを召喚してしまい「貴方のそういうところが本当に信用できないです」みたいな言葉を3年ぶりくらいに発したりしていた。わりと久々に「怒」の感情が発生した。

 

マウンティングや響きだけキレイで中身のない言葉や他人を見下して馬鹿にする空気はからだの奥から人を不健康にするからふれたくない。

ふれてしまったら怒れるゴリラになってしまう。月を見たら大猿になってしまう悟空のつらみが今なら分かる。誰かオラのしっぽを切ってください。

 

 

 

ゴリラだって、ヘルシーに生きたい。

 

ヘルシーに生きたいから会社員を辞めてフリーランスになったし、ヘルシーに生きたいから東京を離れて沖縄に移住した。仕事も自分の身体とこころに相談しながら量を調整して、こころが刺激を求めたタイミングでセブのお仕事案件をいただいたから飛びついた。 

 

あらゆる行動選択の軸を「これはわたしにとってヘルシーで自然な選択かどうか」にした。自分の身体とこころの声に逆らう生き方は不自然だし生物らしくない。

 

 

「自分がヘルシーに生きること」は、たぶんゴリラに限らず人間が生きるうえでの最優先事項だと思う。

 

自分がヘルシーでいればギブだギブだと声を大にしなくてもきっと勝手に与え出す。人間には「他者貢献欲求」が備わっているので、自然でヘルシーな生き方をしていれば「誰かにとって気持ちいいこと」をしたくなってしまうもんだと思ってる。

 

 だから、ただヘルシーに生きたい。

自分にとってのヘルシーな生き方を追求したい。

 

 

でも、ときには不健康なこともある。

人間社会だもの。

 

 ひとたびわたしの内なるゴリラが発動すればかなり獰猛になるけど、中身は変わらずわりと繊細。

 

獰猛で繊細なゴリラってなんだよ。

重すぎるだろ。誰の手に負えるんだよ。

 

 

 

手に負えないから、自分が動く。

 

そんなわけで、もろもろ社会的に欠陥のあるゴリラなわたしが「不健康なこと」にぶつかったときにヘルシーな回復を遂げるための6つの方法を以下に記載しました。

同じく生きづらいゴリラな皆さんのお役に立てれば幸いです。

 

 

1. 誰かにたくさん褒めてもらう

 

 

一時的にメンタルをやられ自信もぼっきり折れそうになったので、TwitterFacebook上記のようなウルトラかまってちゃん投稿をした。

 

 

落ち込んだときは信頼する友人に頼んでとにかく褒めてもらう。これは大学時代からずっと実践してきたわたしのリカバリー方法である。

 

激しく落ち込んでいるときにひとりで内省モードに入るとロクなことがない。根暗でネガティブな自我が全開となり「やっぱり自分はダメなんだ、自分が悪いんだ」と凄まじい自己批判が始まって死にたくなるだけである。

 

 だから、人に頼む。

 

ポイントは、信頼できる人。

間違っても求めてない説教や自分の話にすり替えてくる人には頼まない。

 

 

今回のようにSNSに上記のような投稿をするのは批判がくるリスクも高いし「反応がなくて消えたくなる」という二次災害にも繋がるので注意は必要。

でも実名のFacebookにおいて弱っている人のコメント欄に批判を投稿する人はそうそういない(当社比)。Twitterで心ない誹謗中傷がビシビシ飛んでくるのはフォロワー1万超くらいになってからだと何かに書いていた。

 

そしてわたしの友達やフォロワーさんはみんな優しい善人。なお事実無根です。

 

結果、コメントやメッセージで150件以上の励ましをもらった。

この世は善意で満ち溢れているのかよ。

 

できるだけたくさんの人からの声がほしかったのでとてもありがたかった。メンタルも自信も分かりやすいほど回復しています。

 

 

2. 誰かに問題解決のアドバイスをもらう

 

 

誰か系シリーズ第2弾。

 

さっきの褒めてもらうやつはとにかく自己肯定感を高めるためのもの。怒りや悲しみなどの感情をちゃんと味わい切ることは大切だけど、自信まで失うとリカバリーに時間がかかるから早めの対処が必要です。

 

 

で、こっちはもっと現実的。 

 

自分を不健康にしている要素とどう向き合ったらヘルシーになれるか。具体的な解決策を誰かに相談してみてアドバイスをもらう方法である。

 

ウジウジ悩んで立ち止まるより、問題をぶっ壊すために頭と足を動かす行為はとても前向きでエネルギッシュ。意外とその過程で元気になったりする。

 

誰かにアドバイスを求めるのは、自分でがむしゃらに動くより効率が良いからです。

 

 

3. 誰かの前でめっちゃ泣く

 

 

誰か系シリーズ第3弾。

そろそろ誰かにウザがられるのでこれがラストです。 

 

誰かに電話して、時には肩や胸を借りて、ちょう泣く。

泣くのは最強の感情デトックスだと思っているので、泣けるタイミングで堪えず泣きつくすのがヘルシー。ただこれもウザがらない人やタイミングを選ぶ必要はある。

 

誰かにいてもらうのは、寂しいからです。

 

 

4. ヒトカラかドライブで大声で熱唱する

 

 

「声を出す」って大事。

腹ん中に溜まった毒素的サムシングが声といっしょに出ていく感覚あるよ。カラオケはほんとに最高のストレス解消だと思う。

 

腹の底から気持ちよく熱唱したいときの選曲は大体RAD。 『前前前世』と『なんちって』と『君と青と羊』あたりを吉田美和レベルの声量でよく歌ってる。沖縄の皆さんごめんなさい。

 

 

5. Perfumeを聴きながら小1時間さんぽする

 

 

選曲はPerfume一択。

特におすすめは『スパイス』『ナチュラルに恋して』『FLASH』『チョコレートディスコ』で、これを聴いて散歩しながら悩める人はいないはず。だまされたと思ってどうぞ。

 

さんぽってのも大切。

鬱っぽい気分の原因が運動不足ってことはわりとある。

 

 

6. 寝る

 

 

です。

 

 

いろいろと世知辛いこともあるけど、言いたいことも言えないポイズンを作ってんのは世の中じゃなくて自分自身だってことはよくある。

だからせめてヘルシーにリカバリーできる自分なりの方法は持ってたほうがいいと思ってます。いっしょに生きようねゴリラなみんな。

 

とりあえず今日はここ最近のウダウダをぶっ飛ばすべくクラブ大好きな友人のエスコートで朝まで那覇のクラブ。揺れるゴリラになってきます。

 

真崎 

 

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ぼっち好きで寂しがり屋なフリーランスが #旅ときどき仕事 に参加して良かったこと

 

宮古島から沖縄本島に帰ってきました。

おかえりただいま。

 

 

2016年12月24日。

昨年のクリスマスイブ。

 

ギリシャに滞在中だった旅ライター・古性のっちさんからセブにいるMさんこと真崎に連絡がきた。国境を越えた恋愛トーク。内容は酸っぱい。泣いてなんかない。

 

 

「おきなわいつもどるの」のっちさん。

 

「3月に帰れる、はず」真崎。

 

 

「ぺい!」のっちさん。どゆこと。

 

 

「3月末に宮古島いくです。そのまま帰り那覇によってまさき氏に会って帰ろうと目論んでいるです」

宮古島には何しに行かれるんですか??」

「1週間くらい宮古島のオフィスでリモートワークしようかなーて」

 

 

「まさきしも一緒に行こう」

「行きたさしかない」

 

3秒で宮古島行きが決まった。

 

 


のっちゃんのゆるゆるなお誘いは、いつの間にか「旅ときどき仕事」という壮大な企画に形を変えていた。

 

場所を選ばず働ける皆さま向けで「いっしょに旅しながら仕事しましょう」というこの企画。「誰も来なかったらふたりで宮古島アラサー恋愛トークしようね」と話していたけど、結果的に応募総数20名超え。9名のフリーランス&会社員な皆さまと、宮古島で旅ときどき仕事な1週間を過ごした。

 

今回のメンバーは以下のみなさま。

今井ともちん(フリーディレクター)

てるやしおちゃん(フリーデザイナー)

ルリ子さん(新潟のフリーライター

なかりほさんフリーライター

えいたさんフリーライター・編集)

つるたまさん(フリーカメラマン)

羽田さん(会社員、アウトドアメディア.HYAKKEI編集長)

・のっちゃん

・真崎

 

 

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カフェで仕事をするのっちゃん、歌うともちん、弾くてるちゃん。「旅ときどき仕事」のカオスな自由ぶりをよくよく表す1枚。

 

 

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夜は飲む。だってここはそう宮古島。つるたまさん(写真右)には及川ミッチー似疑惑が上がる。

 

 

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なかりほさんとえいたさん。どことなくエキゾチックなふたり。なかりほさんは私に会いに宮古島に来たと話してくれた。抱きしめたい。

 

 

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カフェの白ブランコに馴染みすぎている羽田さんには「原住民」というあだ名をつけたい気持ちになった。

 

 

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Wordpress分かんねぇ投げ出してぇ」と喚くわたしにルリ子ねえさまが1から指導。ようやくサーバーとドメインをゲットしましたありがてぇ。

 

 

 

 

フリーランスはわりと孤独」

 

気付いたのはフリーになってからわりとすぐの頃だったと思う。

 

マジで、ビックリするくらいに人と会わない。

仕事のやり取りは9割方メール。取材で人と話しても終わればカフェでひとり作業。気付けばひとり。ずっとひとり。ひとりひとりひとり。

 

「誰かと仕事したい、いっしょに仕事をする人の顔を見たい」という人恋しさからフリーになって5ヶ月目には内勤バイトライターとして会社にも入った。カフェで作業するときには「誰か渋谷でいっしょに作業しましょう」とよくツイートした。大体この女が釣れた。

 

 

沖縄移住後は、孤独で一旦死んだ。

 

仕事も住む場所もキレイな海も美味しいごはんもたくさんあったけど、「マジで原稿1文字も進まねー」と気軽にグダる仲間がひとりもいない環境は思ったよりキツかった。

 

東京にSkypeを繋ぎながら作業したり、仕事が終われば東京の友達に電話をかけたり。物理的にも精神的にもどこか「ひとり」な寂しさを埋めることに余念がなかった。

 

 


のっちさんが書いたこの記事。

 

 

念願の旅は最高にたのしかったし、いつ仕事しても良い環境は、わたしの心をとても軽くしてくれました。

 

朝寝坊しても、わたしの首が締まるだけ。

煮詰まってしまったら、少し大きめの伸びをして好きなカフェにいく。

 

はじめの頃はそんな風に、なんだかちょっと憧れの、会社員時代には経験できなかった解放感に顔が緩む日々が続いていました。

 

だけど旅にトラブルはつきもので。

飛行機がストライキしたり、持ち物がなくなってしまったり。宿のラウンジに空き席がなくて、ベッドの布団の中にこもって記事を書いたり。

そんなときに限って、想定外の大量の修正をいただいて、揉めてしまったり。

 

「ねー、これどうすればいいのかな?」

なんて、気軽に相談できる相手も、いなくて。

 

***

 

本当に本当にちいさなこと。

 

だけれど言葉も通じない、そんな異国の町で、わたしに降りかかったそれらの出来事は、「何これ!最高だな!」とトラブルに対しても笑顔で答えてくれた上司の姿をとてもとても、愛しくさせました。

 

会社員に戻りたいわけじゃない。

だけれど、会社が恋しい。

 

勝手にフリーランスになったくせに、今は空っぽの、隣で笑ってくれた仲間が恋しい。

 

そんな思いを、自分勝手ながらわたしは旅の途中、何度も何度も感じてしまいました。

 

 

同じような思いを、自分勝手ながらわたしはこの2年間、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も感じてしまいました。

 

会社員には戻れない。

だってもう自分のペースで仕事の量も時間も決められるワークスタイルがすっかり心地よくなってしまったから。基本的にはひとりが好きだから。

 

 

でも、仲間はほしい。

 

「もうムリだー!」って嘆き合う

「この構成どうかな?」って話し合う

「ちょういい原稿書けた!」って讃え合う

「飽きたからご飯食べよう」って誘い合う

「こんなことしたいんだよね」って語り合う

 

そんな仲間は、めちゃくちゃほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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旅ときどき仕事は、そんな感じ。

 

とてもよかったです。

のっちゃん、企画ありがとうね。

 

 

人恋しいと嘆くわりにはぼっち好きで根暗で協調性がなく、現地の方も含めた全員集合飲み会にひとりだけ参加しない。

そんなクソなわたしも温かく受け止めてもらい、ぬくぬくと良い時間を過ごすことができました。ありがとうありがとう。なお私だけ1秒も仕事していません。

 

 

第2弾は4月、タイのチェンマイだよ

 


さてさて。

そんな「旅ときどき仕事」の第2弾がさっそく来月実施されるみたいです。のっちゃんすごいね早いね。

 

今度の舞台はタイ・チェンマイ

Wi-fiカフェやコワーキングスペース多数、物価は激安で、フリーランスたちがリモートワークやプチ移住しにくる密かな聖地みたいです。

 

応募締め切りは3月28日(火)だって。

明後日じゃんウケる。

 

 

同じ場所に集って、基本的には各自が自分のペースで行動しつつ、人恋しいときには気軽に声をかけ合っておしゃべりお出かけPC作業。

 

なんか、いろいろちょうど良い環境です。

興味のある方はぜひどうぞ。

きっととても楽しいよ。 

 

真崎

 

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フリーライターになった理由と「フリーランスになりたいです」への返し方 #旅ときどき仕事

 

 

宮古島なう。

 

 

フリーランスの旅ライター・古性のっちさん主催の「旅ときどき仕事」という企画。初回となる宮古島プランには、ライター、デザイナー、ディレクター、カメラマン、合計9名のフリーランスが集まった。

 

オフィスやカフェにこもって仕事をする人、ふらふらと宮古島さんぽや観光を楽しむ人、観光をそのままライティング案件に繋げちゃうツワモノ。

基本的には各自が好き勝手にふらふら過ごしつつ、気が向けばごはんや観光やPC作業に誘い合う。

 

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基本的には一人が好きだけど本質的には寂しがりやで人恋しいわたしにピッタリのワークスタイルがここにある。なお滞在5日目でわたしはまだ1秒も仕事をしていません。

 

 

宿泊先と作業用のオフィスは株式会社タービンインタラクティブ様にお借りしている。絶賛求人中とのことなので興味のある方はどうぞ。

勤務時間1日4時間、副業自由、土日休み、社員寮アリなウルトラ最高案件です。

 

liginc.co.jp

 

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なおオフィスの前は海。

夕日が美しすぎかよ。 

 

 

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1日目の夜。

女子寮ではこんな話が(オリオンビール片手に)繰り広げられた。

 

 

「フリーの旅ライターになってから『旅ライターをしたいけどどうしたいいですか』『フリーランスにはどうやったらなれますか』『そもそもなんでフリーランスになったんですか』みたいな連絡がすごく来るの。

それに対してどういう返信や記事の発信をしたら、質問してくれた方のニーズを満たせるのか考えたいから協力してください」

 

と、のっちさん。

じゃあまずはみんながフリーランスになった理由から教えてください~とのことで、ひとりずつ発表していく。

 

「わたしにとって大切なのは『旅をしながら仕事をする』っていう働き方を実現することだけだったから、それができるなら会社員でもよかったのね。でもそういう会社がなかったからフリーランスになった」

これはのっちさん。

  

「学生時代はデザイナーになりたくて専門学校行ってて、音楽が趣味だったからライブハウスに通ってたの。そのライブハウスを運営する会社にデザイナーとして就職した。当時は紙媒体の仕事がほとんどだったけど、ちょうどインターネットが盛り上がってきた時代で、ウェブデザインを学びたいと思って、東京に上京して学校通いながら元いた会社から業務委託でデザインの仕事受けてたら自然と依頼が増えてきて、なんか気づいたらフリーのデザイナーになってた(笑)」

沖縄出身のデザイナー・しおちゃん。 

 

「わたしは25歳までに10社くらい会社経験しててさ。もう誰かの下で働くのは飽きたし会社で身につけたいろんなスキル使ってチャレンジしてみたかったら、最初は起業を考えてたの。そしたらたまたま友人から『UIデザインの仕事を個人でお願いできないか』と依頼がきて、それがフリーのスタート。そのあとはカフェ開いたりフリーのディレクターしたり、一度また会社員に戻ったタイミングもあったけど『やっぱ違うな~』って思ってまたフリーランスで今いろいろやってる」

 フリーディレクター・今井さん

 

「フリーになるつもりなんか全然なかったよ。コーダーとして7年間会社員をして、結婚をきっかけに退職して夫の地元である新潟に引っ越した。コーダーの仕事が在宅で出来たからとりあえずフリーで業務委託受けてたけど、ひとりでコーダーの仕事するの楽しくなくって。そしたらたまたま長野でライター募集してるの見つけて応募して、そこからフリーライターになった。ライターの仕事は楽しいよ」

フリーライターのルリ子さん。

 

 

4人に共通しているのは

フリーランスになりたくてなったわけじゃないよね」

だった。

 

 

からの

 

「じゃあ次、真崎さんは?」

 

 

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わたしだけが、フリーランスになりたくてなった。

 

というか、フリーランス以外の道が見えなかった。

フリーランスになると決めてから職種を考えた。

 

 

フリーランスになるのは結果で、まずは何をしたいか、何故したいかが大事。フリーランスになりたいってのは手段の目的化だよね”

 

うるせー。

こちとら2年で3社辞めてる会社不適合者なんだよ。

 

  

前職は子ども教育・不登校支援のお仕事。

一応弁解しておくと、仕事のやりがいはめちゃくちゃあったし上司も同僚も信頼していた。子どもの学習指導や相談にのることなんかは大好きで、退職したあともしばらくバイトとして細々と講師を続けた。

 

ただ

マルチタスクができずミスが多い

・それで日々注意を受けて凹む

・営業がほんとに嫌い

・定期開催のイベント集客でずっと胃が痛い

みたいな細々としたストレスが積み重なってどんどん思考と身体が重くなり、いつの日からか「気が付けば泣いている」みたいな状態になっていた。

 

 

2015年2月。受験指導が落ち着いた時期にふと「来年度も同じ働き方をし続けるのか」と考えたら恐怖を感じた。

 

もともと「会社に所属していないと自分でお金を稼いで生きていく自信がない」と思っていたけど、「お金を稼いで生きるための仕事で精神的にじわじわ死んだら本末転倒だ」と気付いたので退職を決めた。

 

 

嫌なことは身体が拒否してできない。

でも、できなければ会社や顧客に迷惑がかかる。

 

 

「じゃあ、もう会社員ムリじゃん」

 

 

会社員以外の働き方は、フリーランスしか知らない。

じゃあフリーランスになろう。

 

嫌なことはできないから好きなことを仕事にしよう。

好きなことは「書くこと」だからライターをしよう。

 

 

で、フリーライターになった。

 

 

 

 

「自分の好きなことをしていて気付いたらフリーになってた」なんてすげーカッケーなと思う。会社員がムリすぎて社会不適合なりの延命措置としてフリーを選んだわたしのクズさ際立つ。

 

でもだからこそ、出だしの理由なんぞマジでなんでもいいなとわたしは思う。

 

クズもゲスも手段の目的化だと諭された人もとりあえず一旦やればいい。「フリーってなんとなくカッコ良さそうだから」「会社に縛られず自由に生きてる臭がするから」みたいな理由でもとりあえず一旦やればいい。

 

やってみたいと思ったなら、一旦やればいい。

 

 

フリーになって最初の仕事の受け方は

 

・知り合いからの紹介や委託を受ける

・元いた会社から業務委託を受ける

・ホームページから募集案件を探す

 

わたし周辺のフリーランサーはこの3パターンが多いです。他にもあったらごめんなさい。

業界未経験だった当初のわたしはSNSと各所で「フリーライターになったのでお仕事くださいお仕事くださいお仕事ください」と喚き散らすところからスタートしました。いただく案件を最初はすべて受けつつ、スキル向上のために師匠をつけたり、自分を売り込むために交流会やハッカソンに出たりしました。実績が増えたら興味のあるメディアや企業に営業することもありました。ブログ経由でくるお仕事も多かったので作っておくといいかもしれません。

 

 

 

 

みたいな話をしても

 

フリーランスになりたいんですけど」と相談してくる方に1つも響かないことはわりとある。

 

 

 

 

フリーランスになりたいなら、なったらいい。

 

でも、フリーランスになりたい理由をしっかり深堀してみれば

 

「組織の人間関係で悩んでいる」

「仕事内容が合わない」

「とどのつまり会社辞めたい」

 

こういった悩みに帰結したりする。

 

その場合「フリーランスになること」は悩みを解決する手段のいち候補にはなるかもしれないけど、他にも選択肢はいろいろある。

 

 

はい、そんな結論です。

 

なおわたしはフリーランスで延命成功。

なってよかったビバロック

 

 

宮古島ライフも残すところあと2日。

雨天決行になってしまったマグロ漁の代わりに明日は釣りへと出かけます。 仕事どこ。

 

真崎 

 

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2週間半でマイナス3.5キロ、ダイエットの動機とルールと感想です。

 

「自分はけっこうぽっちゃり系というかちょっとデブなくらいがタイプで森三中の黒沢くらいでも全然許容範囲内なんですよね。ところで真崎さんタイプです」

 

人生で一番リアクションに困った口説き文句がこちらで、この時ばかりは相手の頭を鈍器でかち割っても合法だったと思う。

 

骨太、巨乳、筋肉質。

ガチムチ体型の3大カルマを背負ったうえに、骨や筋肉の上には27年かけてお肉もたくさんたくさんつけた。

上記デブ専からのアプローチはわたしの心の隅に深い影を落としつつ「デブ専の存在は都市伝説じゃなかった!」という確かな希望にもつながった。「細いからモテる」なんてのは偽の命題です。ハッハー

 

 

ところでダイエットをしました。

 

だってどう転んだってお腹の贅肉はわたしのテンションを上げない。「そのお肉があれば海で浮けるね!」なんて誰かのフォローがまじウケる。

 

テンションの上がる自分でいたい。全然好みじゃない上に地味で薄汚い服を着るよりも、自分の好きなワンピース着てお散歩するほうが気持ちルンルンするアレ。

 

同じく「自分がルンルンできる体型」がきっとある。

贅肉ダルダル、ぽっこり出たお腹、セルライトたっぷりの手足、リンパの滞った顔回り。細い太い抜きにしたって不健康まるだしの体って全然セクシーじゃない。 

 

私の身体から「テンションの下がる全要素」を排除して、健康的にテンション高くルンルン生きていきたい。

 

そんな感じで2月を「健康的に痩せる月間」に定めて、2週間半でマイナス3. 5kgでした。結果にコミット。どんな生活してたのか以下ご報告しようと思います。

 

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(右:お仕事&ダイエットパートナーのまゆゆ

 

これまでの悪しき生活習慣

昨年6月に沖縄移住してから自分の生活や体型にはあまり頓着がなく、いま思えば「いやそれは不健康にデブります」なことめっちゃしてた。

 

特に致命的だったものは

 

・晩ご飯は22:00以降

・しかも余裕で白米おかわり

・夜中でもお腹が減ったら近所の食堂行っちゃう

・夜に仕事しながらポテチやオレオを食べちゃう

・しかもペロリとひと袋

・キャラメルフラペチーノラブ

・運動しない

・車生活につきたぶん東京時代より運動不足

 

12月からフィリピン・セブ生活。

しかし生活習慣は特に変わらず。

現地には黄色いパッケージの「Ray」っていうポテチがあってだな、これがほんとに美味しくて絶妙な塩加減でもうカルビーとかコイケヤには戻れない。滞在先のお部屋に常備して夜にみんなでビール飲みながらバリバリ食べた。幸せな日々だったー。

 

で、2月。

いざダイエットを始めるにあたり、久々に体重計乗って発狂した。

 

 

え、おかしくない?

 

どう考えてもおかしくない?

14キロっておかしくない?

そんなに体重増えたら人相とか周囲の対応とかもろもろ変わってくるもんじゃない?

 

あ、でも。

実家に帰ったらお兄ちゃんに「お前はなにを間違ってそんなに太ったん?」って言われてた。

私のキャミソール姿を見たかつての同居人に「防具なしでアメフトできそうやな」って言われてた。

 

みんな要所要所でわりと警告出してくれてた。

ここらで気付けてよかったね!

 

 ダイエットのルール

 

ということで、テンションの上がる体型目指して本気出すことにした。

 

特にダイエットや健康知識があるわけでもない中、まゆゆと私でうる覚えの知識を共有し合ってウルトラ私たちルールを作成。個人的に優先度の高い順に以下記載していきます。

 

1. 21時以降はお水だけ

22時以降のディナーと真夜中のお菓子がデフォだった私にとって最もハードルの高いこのルール。

 

あれですよね? 寝る3時間以内に食べたものはなんか体内にギュンギュン蓄積されるんですよね? なんかすごい太りやすくなるんですよね?(うる覚え

いろんな情報をインプットする中で「夜遅くにご飯やお菓子を食べまくって良いことなんて1つもない!」という結論にたどり着いたので、まずはここ。

 

2. 炭水化物はオートミールだけOK

炭水化物抜きやら糖質制限やらの言葉をよく聞くようになったので「よし、じゃあ抜いてみよう!でもちょっとくらいはOKらしいからオートミールはOKにしよう!」とゆるゆる決めたルールがこれ。 

 

3. ストレッチ毎日

やっといたほうが良さそうだねってことで。まゆゆは「180度に開脚して身体がベタッと床につく状態」を目指すらしい。意識高い!

私は途中から「体幹の強い女になりたい」という願望が芽生えたので、ストレッチに加えてカンタンな体幹レーニングも追加した。

 

4. ズンバ最低週2回 

ダンサー兼振り付け師のひとが考えたダンスフィットネスプログラム。ノリノリの激しい音楽に乗せてわりと踊ります。まゆゆが住んでいるコンドミニアムで平日週4回ズンバのレッスン開催しているので、それに週2は出よっか~という話に。

個人的にズンバの運動量はコアリズム以上ビリーズブートキャンプ以下(わりと幅広)で、1時間踊り切ったらわりとクタクタになります。

 

5. ポテチやチョコなど週1だけOK 

お菓子!砂糖!絶対!NG!悪!みたいなテンションでいくとしんどそうだったので、制限なんだけどご褒美みたいなルールに見せかけたやつです。頭いいね。 土曜日はポテチ解禁してる。

 

 

あとは週3の腹筋背筋ルールもあったけど、ふたりともまったく実行していないので割愛。そうあれはダイエット開始時の高揚感が作り出した幻。

予定外の外食や仕事で追い詰められている日もあったのでちょこちょこルールを破ることもあったけど、基本的には上記を順守した。

 

 で、その結果。

 

 

いえいいえーい。

 

これまでの生活が不健康すぎたので、たぶん変化が出るとしたら最初にガクンとくるだろうなって予感はあった。きた。嬉しい。

 

感想

1. ダイエットパートナーがいるって最高 

今回のダイエットでひとまず成果が出たのは9割9分9厘まゆゆのおかげです。

 

オーガニックフードのお店で豆乳やフレークを買ってくれ、野菜たっぷりのスープを大量に作り置きしてくれ、外食時にわたしが「ダメだまゆゆ海鮮丼食べたい海鮮丼食べたい海鮮丼食べたい海鮮丼食べたいですですですです」と呪詛を吐き散らかしても「むっちゃんダメだよ」と冷静かつ無情に歯止めをかけてくれた。

 

わたしはそこまで意思が強い人間ではなく、今回だって「テンション上げるためのダイエットでテンション下がってたら本末転倒だわよう」とそれっぽい理由でとっとと脱落していた可能性も大である。

ダイエットにおけるパートナーの存在は力強さしかないし、まゆゆをパートナーにしたらもれなく栄養たっぷりの美味しいスープがついてきます。

 

2. 1日3回もお腹はすかない 

「1日3食は食べすぎ」という話は以前からわりと耳タコで個人的にも賛成な意見だったので、ダイエットを始めるずっと前から1日2食生活(朝ごはん抜き)をしていた。その時から「朝って実はそんなにお腹すいてないな~」と思っていた。

 

ダイエットを始めてから、自分のお腹の様子をよく気にするようになった。ふと何かを食べたくなったとき冷静にお腹と対話すると「あれ、別にお腹減ってなくない?」と気付くことが多かった。

この「とりあえずなんか口に入れたい」という衝動に負けるとたぶん太る。1日〇食という暗黙の決まりを無視して、できるだけ本当にお腹がすいた時だけご飯を食べるようになった。

 

3. 結果が出ると

嬉しい。

 

 

そんなわけで、今後も「21時以降はお水だけ」と「毎日ストレッチと体幹レーニング」は確実に、炭水化物制限はゆるゆると続けていく所存です。

 

軽やかにルンルン生きるぞ。 

いえいいえい。

 

真崎

 

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いつかの100点満点

 

「そのときね、すごく落ち込んでたの」

 

セブのビーチ。夕暮れ時。

ビーチチェアに寝そべってバナナシェイクを飲む。

 

隣には、先日会ったばかりの脚本家の女性。ふたりでたわいもない恋バナをしていたら、彼女がふと”一番大好きだった男”の話をしてくれた。

 

 

「人の裏切りみたいなことがあってね、もう立ち直れないくらいすごくショックで。そのとき、彼に電話をしたのね。

 

それで彼が電話に出てくれた瞬間、わたしいきなりすごく泣いちゃって。なにも話せずにずっと号泣してて、彼は何も言わずに電話を繋いでいてくれて。

 

しばらくしてからやっと言葉を発したんだけど、泣いてる理由もなにも説明せずに、わたしひと言だけ、『生きていくってこんなに大変なんだね』って言ったの。普通に考えたら意味分かんないよね。

 

そう、意味分かんないじゃん。

だから普通ならさ、たぶん『どうしたの? 何があったの?』って聞くと思うの。

 

でも、その彼はなにも聞かないの。

 

『うん、生きてくって大変だよね。俺も最近知ったわ』って言ったの。

 

ああ、もうこれ。

この言葉、100点満点だって思った」

 

 

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「親父が倒れた。すぐ戻ってきてほしい」

 

京都にいる兄から連絡がきたとき、わたしは福岡にいた。

 

 

大学5年生。卒業を間近に控えた2月。

公立校で学習支援を行うNPOに所属して1年半プロジェクトを回し続けてきたわたしは、「最後は授業サポート側じゃなくて、授業をする講師として生徒に直接関わりたい」と思って福岡にやってきた。

 

5日間の短期学習支援プログラム。4日目の指導を終えていよいよ次が最後の授業。どんな授業をしようか。どんな成果を彼らに残すか。

そんなことを考えながら教材づくりを進めていた、夜明け前の午前4時頃だった。

 

兄からのメールを見たわたしはパニックになった。

 

お父さんが倒れた?運ばれた?入院?なんで?突然?今までそんな様子なかったのに?え?うそ?ヤバかったの?前から様子おかしかったの?私だけ気付いてなかったの?脳出血?失言?ねえそれヤバくない?え?死ぬの?お父さん死ぬの?

 

ヒャッ、という音が口から出る。

 

しゃくり上げるような嗚咽が止まらない。携帯を見ながらヒャッヒャッと繰り返すわたしの異変に、部屋でいっしょに作業していた講師仲間の女の子が気付いた。

彼女がわたしを抱きしめて「大丈夫、大丈夫、ゆっくり息しよう」と言っている。彼女の深呼吸に合わせて、わたしもゆっくりと息を吸い、ゆっくりと吐く。

 

しばらくするとパニックは収まった。少し落ち着いたところで、兄にメールをして詳しい事情を聞いた。

 

「発語と右半身にマヒが出ているけど、死ぬとかじゃないから大丈夫。今すぐムリならいいけど、できるだけ早く帰ってきてな」

 

兄の言葉を見て、ほんの少し安心した。

そして、この後どうするべきか冷静に考えた。

 

少し考えて、わたしは彼のいる別室に行った。

 

 

**********

 

ドアを開けると、部屋は暗かった。

テーブルには作りかけの教材。ベッドには彼。ゴロリと寝そべり、かすかに寝息を立てている。

 

 

「なあ」「……ん」

 

かまわず起こした。反応があったから続けた。

 

 

「お父さんが倒れたらしい」

 

「………マジで?」

 

寝ぼけたような声で彼が答える。話が通じているのか分からない。それでもかまわず続けた。

 

「最後の授業はする。終わったらすぐ帰ると思う」

「……そうか」

 

そんな短い会話を終えて、部屋を出た。

 

 

 

彼と初めて会ったのは、前年の夏。

 

わたしがプロジェクト責任者を務めた夏季プログラムに、彼はアフロでやってきた。

唖然とするわたしたちスタッフを前に、彼はボソボソと低い声で「コミュ障が自分のイシューで、この課題を解決するために髪をアフロにしました」みたいなことを言った。意味が分からなかった。

 

わたしよりも圧倒的に頭がよく、とても良い意味で意識も高く、体型はスラリと細長く、アフロという奇抜な見た目に頼らないカリスマ性もある。

 

その存在はわたしの目に恐怖として映った。

「責任者のコイツは自分より低能だ」と参加者に思われたら事業は上手く回らない。そんな勝手なプレッシャーから研修やプロジェクトにも必要以上に気張って臨んだ。

 

彼は、とても優秀だった。

そして、不器用で一生懸命なやつだった。

 

ヤンチャな生徒たちに翻弄されて授業も最初は上手くいかず、毎日悩みうなりながら指導を考えていた。生徒たちとたくさん話をして、自分なりに相手を理解しようとしていた。生徒も彼のことが好きなんだと目に見えて伝わった。

 

 

2度のプロジェクトを共にして、わたしは彼を信頼した。

彼は彼で、わたしを信頼した。

 

「福岡のプログラム参加するから一緒にやろう」

そう言うと、彼はマジかよと苦笑いした。その後日「そういえば福岡のやつエントリーシート出したで」と言ってきた。

驚いた。嬉しかった。

 

 

*********

 

夜が明けた。

 

わたしは引き続き教材をつくっていた。その部屋に彼が入ってきた。お互い黙々と作業を進める。

 

 

”親父が倒れた”

 

必死に消していた不安、恐怖、親不孝な自分に対する罪悪感が、突然また溢れ出す。こころがキリキリ痛んで、目の奥がジーンとする。

 

彼の作業をジャマできない。でもこの不安を抱えたままひとりにもなりたくない。涙と嗚咽を堪えながら、部屋の大きな窓を開けてベランダに出た。

カーテンは閉めているからわたしの姿は中から見えない。シルエットも映らないベランダの端っこに膝を抱えて座り、また泣いた。ヒックヒックと情けないくらいに泣いた。

 

 

気付けば、ベランダに彼がいた。

 

彼は、なにも言わない。少しだけ距離をあけた場所に座って、黙ってタバコを吸っている。

 

 

なんとなく「ごめん」と言った。

彼はたぶん「おう」だか「いいよ」と言った。

 

そして、私はまた泣いた。ヒックヒックと泣いた。

彼は黙って煙草を吸いつづけた。

 

 

時間にすれば数分のことだったと思う。

 

何本目かのタバコを吸い終えた彼は、何も言わずにガラガラと窓を開けてベランダから出て行った。

わたしはわたしで「いやいつまでコレやるん」と自分に呆れる冷静さを取り戻し、少し時間をあけて部屋に戻った。

 

部屋の中には、わたしと彼のふたり。

もう甘えている場合じゃないと、気を引き締めて教材づくりを再開した。

 

 

♪~

 

突然、彼のPCから聴き慣れたイントロが流れた。

この歌は。

 

 

♪~

これ以上なにを失えば 心は許されるの

どれ程の痛みならば もう一度君に会える

One more time 季節ようつろわないで

One more chance ふざけ合った時間よ

 

 

たまらず吹いた。

 

「なんで山崎まさよしやねん」

思わずツッコむ。

 

「いや、やっぱりこういう時はこの歌かなと」

低い声でボソボソと彼が言う。やっぱり意味が分からない。

 

泣きはらした目で、わたしは笑った。

 

 

********

 

「この言葉、100点満点だと思った」

 

彼女の言葉を聞いて思い出すのは、この福岡の朝。

タバコも山崎まさよしも、わたしの100点満点だった。

 

【シキホール島】天然ドクターフィッシュに噛まれて絶叫した話をするね

 

ドクターフィッシュってご存知ですか?

わたし存知てる。

 

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(フリー素材サイト「写真AC」よりDL)

 

ドクターフィッシュ(Doctor fish)は、コイ亜科の魚ガラ・ルファ(学名 Garra rufa)の通称である。

水中に人間が手足などを入れると、その表面の古い角質を食べるために集まってくるとされ、古い角質を安全に除去できるため美容に、それらを食べられる刺激が神経を活性化するとして健康に、効果があると言われている。

Wikipediaより)

 

ちょう正義。

 

そんなフィッシュの存在は知りつつ施術は未体験。人ってどういうときに「足の角質を食べてもらおう」っていうモチベーションが湧くんだろう。

 

ドクターフィッシュとはご縁のないまま今世を終えると思いきや、ラブポーション(惚れ薬)を求めて先週フィリピンのシキホール島に行ったときに

 

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出会っちゃった。

 

 

「黒魔術師が住む島」として有名なシキホール島。国民の9割以上がクリスチャンのフィリピン人は魔女も魔術もタブーな存在につき寄り付かないらしいけど、手付かずの自然が残る静かなリゾート地につき観光客(主に欧米人)はそれなりにいる。セブほどキャッチーな旅行地ではないのでわりと穴場。

 

上記の写真は、シキホール島にある天然のドクターフィッシュスパ。

樹齢400年以上の巨木があり、その下から澄んだ水が湧き出て池を作り、その池にドクターフィッシュが住んでいる。100%天然もの。

 

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樹齢400年以上の巨木。神秘的。

映像美が評価される海外ホラー映画とかに出てきそう。夜中に根元へ近づいたらグシャグシャにされて地獄に吸い込まれそう(スリーピー・ホロウ

 

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天然ドクターフィッシュ。

めっちゃいる。ビッチビチいる。

 

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淡路島ほどの小さな島にある数少ない観光スポット。欧米人を中心にたくさんの観光客が池に足をつっこみながらキャッキャしていた。

 

ここまで来たら、私だって足の角質食われたい。

 

ということで

 

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ライドーン。

 

ゆっくりと足を入れた瞬間「お、エサが来たぜ!」みたいなテンションでフィッシュたちがビッチビチ寄ってくる、はずだった。

しかしわたしが池のフチで本気で滑って魚雷みたいな勢いで入水してしまったために、まあ一斉にフィッシュが逃げた。隣にいた幼い外人兄弟が非難めいた目でわたしを見る。ごめんな。いっしょにフィッシュを待とうな。

 

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いったん逃げていったフィッシュたちが再び戻ってきてビチビチとわたしの足に群がる。

 

フィッシュにつつかれるのってどんな感じなんだろうな。きっとチチチチとつつかれてほんのちょっとこそばい感じだろうな。小魚にチチチチって感じでつつかれるんだな。

そんなかわいい想像してた。

 

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デュクシ 

 

 

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デュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシ

 

 

ちょちょちょ待って。

 

「ちょ、待って!!」と叫んでサバァと足を上げる。

 

 

想像と違った。

 

チチチチなんてかわいい感じじゃなかった。

ドクターフィッシュたちが角質を食べるときの効果音は完全にデュクシだった。 意外と強い。わりと豪快。予想外のタフガイ。痛いやらこそばいやら気持ち良いやらでアフアフしたリアクションになった。

 

わたしが勢いよく足を上げたことで再びフィッシュたちが離散。隣の外人兄弟が以下同文につき座る場所を変えることに。

 

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移動。

 

小さなフィッシュたちがあんまりビチビチしていないゾーン。キレイな水に足を浸しているだけでも気持ちいいので、しばし両足を入水させたままボーっとする。

 

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ボーっとする…

 

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ボーっと……

 

 

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したいのになんかバリでかいのおる。

顔こわい顔こわい顔こわい。

 

さっきまでいたビチビチフィッシュたちの5回りくらいデカい。「なあここドクターフィッシュの池やんな?この子ら居場所ミスってない?コイじゃない?日本庭園にいるべきやつじゃない?」と、一緒にきていた友人に半泣きの訴え。コイ亜科なのでわりと正解でした。

 

このデカい魚たちがドクターフィッシュなのかも分からずビクビクする私。足の周りをフヨフヨと泳いでいるけど角質を食べる気配はない。

ほっとけば大丈夫かもしれない。

 

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気持ちに余裕ができ、対岸でフィッシュたちにカメラを向ける友人に声をかけながらキャッキャしていた。

 

 

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カプッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

 

 

絶叫。

 

まわりの外国人たちが一斉に「ナニゴト!」みたいな目でわたしを見る。カマレタ!ワタシカマレタノ!

噛まれた衝撃で叫んだあと笑いが止まらなくなったわたしは、隣にいた金髪美女に「ハハハハハソーリーハハハハハ」と壊れた絡み。完全に不審者なわたしに「ドンウォーリーヨー」みたいなこと言ってくれてる金髪美女。こころまで美人。

 

どうやらこのビッグフィッシュたちももれなくドクターだったみたいです。侮った。噛まれた?つつかれた?部分が気持ちつるんつるんなったわ。ただの名医。

 

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(友人カメラマン・まゆゆ撮影)

 

まゆゆはビッグフィッシュのかぶり付きがお気に入り。ちっこいやつらじゃ刺激が足りないらしい。「カプッ」のショックで引き続き笑いが止まらない私を尻目にカプカプカプカプされて楽しんでいる。

 

デュクシもカプッにもすっかりビビりモードのわたし。気持ちを察したのか角質が口に合わなかったのか、フィッシュたちはあんまり私の足に寄り付かなくなった。なんだろうこの複雑な気持ち。 

 

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入場料10ペソ(約24円)でいつまでも居座れるこちらの名所。水に足を浸しながら半永久的にボーっとできる上にドクターフィッシュで足もつるつるになり、原住民や欧米人と国際交流もできる一石三鳥な場所です。オススメオススメ。

 

 

最後にここでラブポーションを5本買いました。

日本にいる親愛なる独身女たちへ郵送します。 

 

 真崎

 

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