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真崎ですよ

ライターの真崎です。2016年6月より池袋→沖縄に移住しました。

母と娘の物語その2 ~文豪たちが愛した「城崎温泉」で、「会社辞めてフリーライターになりました」のカミングアウト~

 

 

 

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舞台は城崎温泉

 

 

志賀直哉武者小路実篤ら「白樺派」の文豪たちが愛した温泉地である。

 

白樺派」というと、大正デモクラシーを背景に誕生した思想の一派であり、その思想は「理想主義」「個性尊重」などを唱えるもの。自然主義に成り代わって大正期の文壇の中心的な存在へと台頭していく。

 

 

そんな「白樺派」の文豪たち所縁の地で、私はこの日を迎えることになった。なんと最高な演出であろう。

 

知らずに予約したのは母。

私は雄琴温泉(滋賀)が良かった。

 

 

白樺派

 

理想主義。

個性尊重。

 

 

「「書くこと」で大成したい」

「組織ではなくフリーランスに転身」

 

 

 

両親へ、打ち明ける。

 

舞台は城崎温泉

 

 

志賀直哉殿。

武者小路実篤殿。

 

白樺派の文豪の皆様

私に力を貸して下さい。

 

 

社会の教科書で初めて名前を見た時

綾小路きみまろみたい」

とか言って本当にごめんなさい。 

 

 

 

 

出発の朝。

 

 とにかくもういろいろ気が気じゃない私は「決意の朝に / Azua Times」を延々リピートして聴き続け半ば強引に決意を固めようと自分にアファメーションをかけ続けた。

 

 

 

おそらく一番わがままで「出来が悪い(冗談交じりで何度か言われた)」手のかかる末っ子長女

 

そんな私が

ようやく社会に出てくれてひと安心、かと思いきや

 

1社目を2か月でクビになり

2社目を関西出戻り2か月で退職してる娘。

ごめんなさい。

 

 

 

ようやく3社目で落ち着いた、かと思いきや

 

辞めてた。(事後報告)

 

しかも今回は転職活動なしのフリーランス

母からすれば「無職」と同義。

 

 

 

さー、どうしたものか。

 

 

自分の心臓の動悸を感じながら、考えていた。

「どうやってカミングアウトしよう」

 

 

理想的な状況としては

①温泉の中(娘の話よりお湯に夢中)

②食事の時(娘の話よりご飯に夢中)

 

要はちょっと相手が油断していそうな時である(ビビり)。

 

 

それでもその話を聞いた母がどのような反応を示すかは未知数なので、怒鳴り声を上げて「なんのために大学まで出してあげたと思ってんの!」「今すぐ転職活動しなさい!」という個人的に最悪のパターンまで想定していた。

 

 

その時はもう、仕方ない。

 

掟シンジ君の「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ」ばりに私の心の中には「いざとなれば逆ギレいざとなれば逆ギレいざとなれば逆ギレ」というフレーズが渦巻いていた。

 

 

逆ギレってのは、あれ。

 

母と私は「一番身近な他人」なので、最終的に私の人生に責任を持つのは母ではなく私であるって話で。

 

「お母さんの望む人生のレールを辿った先に、本当に私の幸せは保証されていると思いますか」っていう、あれ。(中2)

 

 

 

京都駅まで向かう鈍行列車の中では、母は座り、私と父は母から少し離れたところで立ったまま喋っていた。

 

できればこのカミングアウトは旅館まで取っておきたい、のだけど

 

「仕事は今土日が休みなんか?」

「どんな生徒さん見てるんや?」

「毎日東京から出勤するん大変ちゃうか?」

「仕事は楽しくやれてるか?」

 

父!

空気読んで!察して!(父悪くない)

 

 

私の仕事の話から気を逸らすために父自身の話題へと転換しようと頑張る娘。

 

「まあ私はぼちぼちやで。お父さんは最近休み少なくて大変ちゃう?」

「大丈夫やで。それでお前の仕事はど」

 

んもうこの聞き上手!(父悪くない)

 

 

父との(一方的な)攻防で早速消耗。

ここから城崎温泉までの特急列車が怖い。

 

 

 

 

そして、特急列車で隣に座ったのは、母。

 

 

こんな時のためにiPhoneに「久石譲メドレー」をダウンロードしておいたので、「ちょっと宿まで自分の時間にしますね」感満載でイヤホンを耳に突っ込もうとしたら

 

「お母さん、最近仕事で部署変わっちゃって…」

 

んもうこの話したがり!(母悪くない)

 

 

 

正月ぶりに会った母は、大変疲れていた。

 

 

聞けば、4月から大きく部署が変わり、その部署での仕事の負担や人間関係での精神的消耗が相当大きなものになっているとのこと。

 

「下をきちんと育てようっていう風土がないのよ。だから今までしっかりやってきてある程度仕事ができる中堅の方にどんと仕事が降りてくる。」

 

 

母はとても真面目。

たぶん仕事もできるし信頼も獲得している。

 

だからその環境だといろいろふられるんだろうなと思いつつ、左目のまぶたが真っ赤に腫れ上がっていて「全部のストレスがここに集中してるんやと思う」と言っているのを見ると

 

めっちゃ、話しづらい。

 

 

 

  

「もしあんたが臨床心理士の資格取るんやったら、お母さんお金出してあげるわよ」

 

 

本当に唐突。

母が急にそんな話をふってきた。

 

 

「どしたん急に?」

 

「心理の仕事やろ?」

「一応関係はしてるけど」

 

 

「それやったら、臨床心理士の資格とって、スクールカウンセラーになったらいいじゃない」

 

どっからそんな話に?

 

 

スクールカウンセラーって、時給5000円やねんて」

 

だからなんやの。

 

 

「それで一日6時間やったら3万円やん」

 

そやからなんやのん。

 

 

「週3回行くだけでも、月36万円やで」

 

だからなんでいつも金の話やのん。

 

 

「なんやかんや言うててもね、やっぱり歳とったら地位とか資格に助けられるからね。今のうちに手打っといた方がいいよ。」

 

 

 

 

 

「うち多分教育の道行かんで。」

 

あ。

 

 

「どゆこと?」

 

完全に勢い余った。

 

母の話に溢れ出す感情。

これが噂の「売り言葉に買い言葉」か。

(たぶん違う)

 

 

「うち、書く仕事でやっていきたいねん」

 

ここまだ城崎温泉ちゃうで。

ご飯も温泉もまだやで。

 

 

「書く仕事ってなんのこと?」

 

「webのライターとか、なんかそういうやつ。」

 

「てか今もうその仕事ちょっとやってるもん」

「まだ始めたばっかやけど、仕事もらってる」

 

「どのくらいもらってんの?」

「えっと、ん、5社くらいと契約してる(盛った)」

「え、そんなやってんの?」

「うん(盛った)」

 

 

 

「でも、今の会社やりながらそんな副職みたいなことしてええん??」

 

なるよねー。

 

そこ、そうなるよねー。

分かるわー。

 

 

 

 

もう、言うしかない。

 

 

 

「仕事な、3月いっぱいで辞めてん。」

 

 

 

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地獄のミサワ LINEスタンプ)

 

 

 

「そーなん?」

 

「うん、ごめん」

 

 

「前の会社でなんかあったん?」

「今回はそうじゃなくて、やりたい事があったから辞めた」

 

「やりたいことって」

「書くこと」

 

「あんたそーなん?」

「実はそーなん」

 

 

 

「えーそうなんかー」

 

「…」

 

 

「じゃあ転職はせーへんの?」

「次に必要性感じるまでせーへん」

 

「おばあちゃんショックで倒れるわー」

「おばあちゃんごめんやわ」

「また「私の教育が良くなかったんや」って落ち込みはるわ」

「それを言うなら教育大成功やで」

「…」

 

 

「お母さんは、ええのん?」

 

「なにが?」

「辞めたこと、と転職せーへんこと。」

 

 

 

「ええもなにも、あんたが決めたことやろ」

 

 

「うん」

 

「じゃあやってみたら」

 

 

 

(・ω・)

 

 

 

「怒らんの?」

「なんで怒んの笑」

 

 

終わった。カミングアウト。

 

 

 

 

「で、今はライターだけで生活してんの?」

 

 

(・ω・)!

 

しまった、まだあった。

 

 

「ちょっとだけバイトしてる」

 

「あんた、もしかしてまた変なんやってるん?」

 

 

※母には以前「リラクゼーションマッサージのお店でマンションの個室で下着一丁のおじさんに全身オイルマッサージしてる」というグレーなバイトの全貌を話していました(参考:お金と信念のライフカード ~とあるおじさまとの攻防戦~ - 真崎ですよ

 

 

 

「変ではない、朝やし」

「なにやってんの?」

 

「変なことしてへんよ、週4で4~5時間やし」

「あかん、それだけはちゃんと言いなさい」

 

 

 

「…朝キャバ 「え?なに?」

 

「…だから朝キャバ「なにそれ?」

 

 

「…朝のキャバクラ「あんたまたそんなことしてんの!?!?」

 

 

フリーランスよりもこっちがアウトだった。

わたし正直者えらい。

 

 

 

いろいろと呆れる母。

 

だけどもう「ああしろこうしろ」は言わない。

 

 

「時代が変わったんかな」

「そんな気もする」

 

「あんたら(私たち兄弟)大して苦労とかしてへんもんね」

「両親のおかげです」

 

「苦労してたらまた考え方も変わったんやろね」

「そうかもしれんけどそれは分からんし、一回ぐらい今から苦労することあってもええんちゃうかって思ってる」

 

「簡単に言うて」

「ごめん」

 

 

 

「いっこだけ聞いていい?」

「はい」

 

 

立命館大学、行って良かった?」

 

 

良かったよ。

 

即答。

 

本当に良かった。

あの大学に行ってなかったら今の自分はない。

 

 

 

「そう、もうそれやったら良かったわ」

 

 

母の「良かった」の基準は分からない。

 

けど、「良かった」と言ってくれて、良かった。

 

 

 

そして最後はやっぱりいつものやつ。

 

 

1社目をクビになった時も。

2社目を辞めた時も。

 

 

 

「まあ、なんかあったらいつでも家帰ってき。」

 

「ご飯くらいは食べさせてあげるわよ笑。」

 

 

親はでかい。

 

わたしにとっては、やっぱり。

 

 

 

「でも食べていくためには、あんた雑誌の編集くらいはできるようになりなさいよ。」

 

 

そしてやっぱり最後は現実主義。

 

志賀直哉もお手上げ。 

 

 

 

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