真崎です

沖縄にいます

「釜ヶ崎に行ってきた」と言ったら母が切れた話 ~偏見のラベルとカテゴライズにはもう~

 

 

 

 

2年前に初めて「釜ヶ崎」という地を訪れた。

 

 

当時書いた上記ブログ記事にも載せたけど、非常に世間知らずで教養のなかった私は「釜ヶ崎」と聞いてもなんのことか分からず、その地に行きたいと思った動機は「大阪新世界に行くと、自動販売機の間におっさんが挟まっている」という情報を矢野兵頭の兵頭がテレビで言っていたのを聞いたのがきっかけ。

 

要は「自動販売機の間に挟まっているおっさんが見たい」という、もはや純粋なのか不純なのか分からない欲求のもと動いた。

 

 

そして、東京から遊びに来た友人を「大阪案内するね」の口実で新世界に引っ張り出すことに成功し、初めて「新今宮駅」に進出。

 

その時に、その友人が不穏な顔で言った。

 

 

「そこって「あいりん地区」っていうところじゃないの…?」

 

 

 

そこで初めて「あいりん地区」「釜ヶ崎」という言葉と、その言葉に対する世間一般的なイメージを知ることになる。

 

 それ以降、なぜか「もっと釜ヶ崎のことを知りたい」と思うようになった私はネットで釜ヶ崎の情報を収集したり動画を見たり、時には意味もなく新今宮駅で降りて町を眺めたり、そんなことをしている時期があった。

 

 

日本一「日雇い労働者が多い」場所。

 

駅に降り立つと見える職安の周りには、大量のブルーシートとホームレスの方々の姿。

 

明らかに雰囲気の怖い「キリスト教っぽい」集会の建物。

ビジネスホテルの窓から下にいる警官に怒鳴るおじさん。

(これは実際に見た)

 

ものはすぐ盗まれるよという「噂」。

女の子ひとりだと襲われるよという「噂」。

とりあえずなんかしら怖い目に合うよという「噂」。

 

 

「怖い」 よりも

 

「ほんまかい」 が、勝った。

 

 

 

それで、2年前に「釜歩き」というスタディツアーに参加して、「井上登さん」という過去に日雇い労働者として従事していたおっちゃんと出会った。

 

 

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(顔が公共用じゃなかった)

 

 

ツアーの案内人の方のご友人ということでご自宅に上がらせていただき、日雇い労働の時の話や釜ヶ崎の話、写真にある「ジャンベ」という楽器の話やそこからの音楽仲間の話など、いろんな話を聞かせていただいた。

 

 

 

今回ゴールデンウィークの帰省に伴いひとりで釜ヶ崎を訪れようと思った理由は、「井上さんにお礼を言いに行きたかったから」というのがある。

 

 

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(顔が公共用じゃなかった)

 

 

井上さんとはその後facebookで繋がっていた。

 

そんな井上さんは、社会人生活の中で私のこころが死んでいた時期が何度かあったのだけど、そんな時いつもコメントやメッセージで「生きて下さいよーイエ~イ」と私を励ましてくれる存在だった。

 

もちろんその時々で言葉は違うけど、私がこころで受け取るメッセージはいつも「生きて下さいよ」で一貫していたように感じる。

 

 

詳しくは書かないけど、井上さんのこれまでの経験は壮絶なものだった。

 

劣悪な労働環境。

堂々たる搾取。

釜ヶ崎」という理由で受ける偏見。

見捨てられていく仲間。

亡くなっていく仲間。

 

 

そこからずっと、今もまだ釜ヶ崎に身を置き、たくさんの繋がりの中で楽しく生きている井上さんからの「生きて下さいよ」は、私のこころに深く響き支えてくれる言葉になった。

 

 

なので、お礼。

 

 

 

お礼と言いながらも、結局はジュースをご馳走になり、町を案内してもらい、仲間のおっちゃん方を紹介してもらい、行きつけの場所で焼酎を2杯もご馳走になるという、至れり尽くせり感満載で真崎大満足みたいな時間になった。

なんなら無農薬の玉ねぎまでお土産でもらった。

 

 

今日出会った人たちや訪れた場所、そして井上さんから聞いた話など、ここに書きたいことが満載で、本当はそれに関する記事を書く予定だった

 

んだけど、ちょっといろいろあって変更。

 

 

なので、お店で見つけたこの作品だけ貼っておく。

 

 

釜ヶ崎のおっちゃん達は、絵や音楽や書道や詩などの「芸術」を、自分を表現したり他者と繋がる手段としているらしいのだけど

 

どこぞのおっちゃんが書いた書道の作品

 

 

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逆にかっこいい。

 

 

 

 

************

 

 

なぜ記事に書く内容を変えたか、が以下。

 

 

 

家に帰ると父と母が晩御飯を食べていたので途中参加。

先日の旅行で「仕事辞めた」「フリーになった」のカミングアウトと諸々の承諾をもらったところだったので、とっても気が楽。もう隠すことなんてなにもない。

 

 

「どこ行ってきたん?」 母。

 

西成区釜ヶ崎」 私。

 

 

 

 

 

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母。

 

 

母が血相を変えてまくし立ててきた。

 

 

母「なんでそんなところ行ってきたん!?」

私「お世話になった人がいたから」

 

母「あんた前も行ってんの!?」

私「2年前にスタディツアー参加した」

 

母「なんで2年前にちょっと会っただけの人にまた会いにいくの!?」

私「facebookで繋がってていつも励ましてくれてた人やからお礼言いたかってん」

 

母「釜ヶ崎の人facebookなんかやってんの!?」

私「みんな結構やってるって言ってた」

 

母「働きもせんと!?生活保護のお金で!?」

 

 

 

なんか、すごいムカついてきた。

 

 

思った。

 

釜ヶ崎の人」って誰やねん。

井上登さんや。

 

 

母「とにかくもうあそこは行ったらあかん」

 

私「なんでやねん。行くわ。」

 

 

母、本気で怒り出す。

 

私、母の言うこと無視して「永遠の中2」モード。

 

 

母「あんた聞いてんの?ほんまに怒るよ?」

私「なんで怒られなあかんの?」

 

母「危ないからや!女の子がひとりで行くとこちゃうやろ!」

私「危ないってなんなん」

 

母「あんな治安悪いところ、お母さんだってその駅で降りるだけで怖いんやで!変な人もいて変な絡まれ方したし、私の知り合いの女の子なんかそこに行った時にもうすケサランパサランケサランパサランケサランパサランケサランパサランケサランパサランケサランパサランケサランパサランケサランパサランケサランパサランケサランパサランケサランパサランケサランパサランケサランパサって聞いてんのか!?!!?!?!?」

 

 

途中聞いてなかった。

お父さんと柚子酒飲んでた。

 

 

 

一応弁解しておくと、母の言わんとせんことはめっちゃ分かってたつもり。(それでもまた行く)

 

私だって初めてそこに行ってそこにいる人たちと関わるまでは、釜ヶ崎のことを「絶対ひとりで行ったらあかん場所」「物盗られたり襲われたりするところ」「危ない浮浪者のたくさんいるところ」って思ってたし、女性がひとりで行くなんて自殺行為なんだろなーぐらいに思ってた。

 

 

でも、よく分からんけど惹かれた。

 

んでもっと知りたいと思った。

 

 

だからスタディツアーに参加して、たった2~3時間町をぷらぷら歩いて話聞いただけやから釜ヶ崎の表面を撫でるくらいのことしか分からんかったけど

 

釜ヶ崎では芸術が盛んで

公園の詩人のおっちゃんはセンス抜群で

自転車直す仕事してるおっちゃんがいて

底抜け愉快な井上登さんがいて

 

 

案内人の人が言ってた

 

「悪い噂がたくさん立ってるけどね、ここにいるおっちゃん達はみんな、小心者の寂しがりなんですよ笑。悪いことしようとする人もいるけど、基本的にはみんな人恋しい。」

 

釜ヶ崎は芸術が盛んだったでしょ??ここの人たちにとってあれは「人と繋がる手段」なんです。」

 

「多くの人たちは、人との関わり方や距離感が分からない、言葉で自分をどう表現していいか分からない、コミュニケーションが苦手という方たちですが、音楽や詩、絵を通して、そこで自分を表現して他者と繋がることができている。そんな人たちがいるんです。」

 

 

 

昨日釜ヶ崎を訪れた時、井上さんのご紹介で何人かのおっちゃんとお話させてもらった。

 

 

女の子を見たら必ず握手を求めにくるのに私にはなにひとつ求めてこなくて井上さんも「珍しいなあ」と言い私に屈辱感を与えたおっちゃん。

 

井上さんの話の途中でちょいちょい口を挟んできて「今こっちが喋ってるから!!!」と井上さんに強制終了くらってるおっちゃん。

 

私と井上さんの2ショットを無言で撮影して目の前でfacebookにアップし出すおっちゃん。

 

無農薬野菜を栽培していて私にも無農薬の立派な新玉ねぎくれたワイルドでかっこいい見た目のおっちゃん。

 

クラシックが大好きで音楽がんがんかけたお店で焼酎と柚子酒出してくれて、ちょいちょい柚子酒継ぎ足してくれるサービス満点のおにーちゃん。

 

 

釜ヶ崎は怖い」

釜ヶ崎は危ない」

 

そんなイメージがあることも、そんなイメージができてしまうだけの背景があったことも、なんとなく分かる。

 

 

けど、やっぱり思う。

 

釜ヶ崎の人」って誰やねん。

 

 

少なくとも私がその場所で出会ってきた「その一人ひとり」は面白くてええ人らやった。

 

 

「ほんまは怖くて嫌な人かもしれん」て。

そんなん人間全員そうやろ。

なに自分だけ遠くから傍観してんねん。

 

「あんたは世間知らずでなんも分かってない」て。

その地は危ないと知ることが世間を知ることなんか。

それでその場所から距離を置くことが正しいんか。

 

ほなその世間てなんやねん。

個々人を一段階抽象的にくくってラベル貼り付けたもんか。

 

 

 

前職で「不登校」に関わる仕事をしてたんやけど

もうどんだけ偏見に溢れた世界なんやと心底うんざりした。

 

不登校発達障害通信制高校定時制高校、中卒、高卒、母子家庭、父子家庭、被差別地域、生活保護受給家庭、etcetcetcetc

 

そんな抽象的なラベルで人を見て、平気で偏見を持ち差別をする。

 

そのラベルを剥がした先にある、そこにいる「ひとりの人」と向き合ったことがあるんかって、分かった面した評論家気取りの奴らに聞いてみたい。

 

 

 

 

って、いう。(感情的モード終了)

 

母の言葉を右から左に流しながら、こころの中ではそんな言葉が怒涛の如く駆け巡っていった。

 

 

言うて、母の気持ちは分かる。

 

 

「親やねんから、そこは心配するし、口うるさく言い続けます。もうひとりでそこに行ったらあかんよ。分かった?」

 

言ってる意味は分かった。

親の役割。

 

 

子どもは、親に反抗するのも役割のひとつ。

 

「また行くもん。」

 

永遠の中2。

終わらない反抗期。

 

 

 

なんだかな。

 

 

とっても「なんだかな」な夜。

 

 

 

真崎

 

 

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