真崎です

沖縄にいます

フリーライターになって10か月。「私フリーランス向いてない」と思った理由

 

 

 

「あれ、今日わたし呼吸しかしてなくない?」みたいな日がフリーランスになってからの10か月間で幾日かあった。今日もそうなりそうだった。朝7時に目覚ましをセットしたはずなのに私の意識が覚醒したのは11時。ちょっとiPhoneサボってない?スヌーズサボってない?私が起きるまでタントンテントン鳴らすべきじゃない?

 

で、気付けば13時。

時空飛び越えた。

今晩20時から予定があったので、かろうじて重い腰を上げることができた私はいま恵比寿のスタバにいる。パソコンと電源とwifiがあればどこでも仕事ができる。フリーランスだぜーノマドワーカーだぜー私の仕事はここからだぜーウェイウェイなんて気持ちはコーヒーと同様瞬時に冷めた。今週末締め切りの原稿をゆったり仕上げるはずだった私はよしもとばななの小説をゆったり読んだ。読了。ちょっと寝た。起きた。

 

フリーランス向いていない」

Twitterに冗談半分で書いたその言葉が何故かこのタイミングで私を揺さぶってきた。

 

 

そういえばなんでフリーランスになったんだっけ? 

 

この10か月どうやって生きてきたっけ? 

そもそも私本当に生きているっけ?

実は死んでたとかないっけ?(よしもとばななの世界観から抜け出せない)

 

そんな考えが頭をぐるぐるし始めたのでブログを書くことにした。フリーランスになった理由と「向いていない」に反応した理由。たぶんオチは「フリーライターになってよかったー」とか書いている気がするけど。それにしても、やっぱり文章書いていると落ち着くね。

 

 

「正社員じゃないとこの世の中食っていけない」

1年前の自分は確かにそう思っていたわけで、何度か会社を辞めようと上司に相談したときも結局「でも正社員じゃなくなるのが怖い」とかほざいて最終的には会社に縋り付いていた。暗くて不景気で言いたいことも言えないこんな世の中で「正社員」のカードをみすみす捨てるなんて自殺行為。

 

そんな価値観はある日の晩、簡単に崩壊した。

 

ダンスのインストラクターだった同居人に「ダンス教えて」と頼んで、その日の晩に私はシェアハウスで踊り狂った。踊って踊って笑って笑って楽しくて楽しくて幸福感に包まれた私は会社を辞めることにした。

 

私が何をすれば嬉しくて楽しくて幸せなのか、私の身体とこころはちゃんと知っていた。

踊ることと書くことが無条件に大好きなんて小学生のときから知っていた。正社員のカードを失くすことではなく自分のこころに嘘をついて生きることのほうが私にとっては自殺行為だった。そんなことに踊り狂ってから気付いた。2日後上司に思ったことをそのまま告げて退職希望の旨を伝え、1か月後にフリーライターとなった。そしてたまに踊った。

 

 

「好きなことをすることが幸せだ」とともに「2年間で3社辞めている私はおそらく組織不適合だ」という仮説の豪華2本立てにより、私はフリーライターという働き方を選んで仮説検証を開始した。間違っていたらまた仮説を立てて別の道を歩んでみよう、なんて思えるこころの余裕ができていた。

 

ただ、「フリーランス」って言葉はなんか嫌だった。

「私は自分のやりたいことをして自由に生きていますよフフン」というドヤ感が貼り付いているようで、実際私も「会社を辞めて自分のやりたいことを仕事にしているなんて真崎すごいねー」なんて何度も言われた。違う。そんなにキレイでもカッコいいものでも本当にない。

 

フリーランスという言葉に懐疑的だった私の目に飛び込んでくるのは、フリーランス個人事業主のドヤってる文章で、私はなんだかイライラしていた。なぜこの人種はわざわざ会社員を見下すのか、なぜ自分の働き方をいちいち正当化して誇示してくるのかとイライラしていた。イライラをそのまま文章にしたりした。

 

 

今はそんなイライラはなくなっている。

 

あれはなんだったんだろう。

私も大人になりました。(今年27歳)

 

 

ライターになった私は、あらゆる場所で「ライターになったので仕事ください」と言い回った。どこに行っても言った。

世は大ウェブメディア時代。「とりあえず文章を書いてくれるライター」のニーズはたくさんあったので、いただいた仕事の話は全部受けた。1記事1000~5000円の原稿を日々せかせかと書きながら、生計を立てるために朝キャバで働いた。キャバクラ収入のほうが多かったけど、ライターとして自分が書いた文章でお金をもらえたことはすごく誇らしかった。

 

そんな感じでしばらく生きた。

 

 

フリーランスに向いていない」に反応した理由を考えたら3つ浮かんだので書いてみる。

 

1つ目の理由は、人恋しさ。

取材や打ち合わせがなければ基本的にはひとりで作業をしている。オシャレなカフェで好きな音楽を聴きながら自分のペースで仕事、なんて響きはカッコイイけど私には寂しいだけだったのですぐ飽きた。シェアハウスに住んでいなければ孤独に負けて男に依存する生活をしていたと思う。嘘です。

 

で、内勤でライターができる会社に入った。

バイト。

 

 

バイトは今も続けさせてもらっている。

会社に行けば好きな人たちに会える。チームで話しながら仕事ができる。そんな嬉しさはフリーランス生活たった4か月でも随分ご無沙汰に感じられた。いろんなバランスが会社のおかげで整った。

 

 

2つ目の理由は、管理能力のなさ。

フリーランスは、年金や健康保険のお金を自分で手続きして納めなければいけない。あんな面倒くさい作業を一身に請け負ってくれていた会社ってなんと偉大なんだ。

 

私の管理能力のなさは会社員時代もしょっちゅう指摘されていたこと。1つやれば1つ忘れる、やることが増えると頭がパンクして真っ白になる、「え、ここミスる?」ってとこでミスる。書いているだけでため息が。

 

直近で私を脅かすのは言うまでもなく「確定申告」である。「とりあえず領収書を切りまくれ」と友人に言われて切りまくった領収書がいま私の部屋でもっさーて積み重なってる。チリツモ。

 

で、これどうすんのーて。

 

ちゃんと勉強しようと思ってホームページで調べるわけなんだけど「えー確定申告は源泉徴収された地金や予定納税で納めた税金の過不足を精算する手続きでーえっとー青色?白色?なにこの色分け?てか還付申告ってなに?えーと申告のための書類作成と提出はーなんかよく分からんしとりあえず『進撃の巨人』読も」みたいな流れを日々繰り返してエレンも毎日巨人化してる。

 

会社に守られていてもミス多数だった私が個人でこんな複雑な手続きをこなすなんて母親発狂。知らん間に脱税してたって展開はナシでって言われている。娘は頑張るよ。

 

 

 

そして、3つ目の理由。

 

フリーランスをやっていて一番つらかったこと。

それは「お世話になっている人からの信頼を失った瞬間の絶望感」だった。

 

 

各原稿には提出の締め切りがある。ライターになった当初、ある会社で言われたことは「ライターさんに必要なスキルは、クオリティの高い原稿を提出することよりも、まず締め切りを必ず守ること」と言われた。だからそれだけは気を付けようと決めた。

 

決めたわりには、駄目だった。

最初に自分のキャパを考えずに仕事をガンガン入れて朝キャバもして~と過ごしていたら思ったより余裕がなく日々締め切りに追われることになった。締め切りを守れなかったことも今まで何度かあった。怒られた。謝った。反省した。

 

ありがたいことに、締め切りを破ったことで縁が切れた仕事はなかったけど、少なくとも信頼の量は減る。「縁が切れないのは相手の厚意と運。甘えるな」はっきり言われている。承知しました。

 

 

めちゃくちゃお世話になっている人の仕事から請けた期限が守れず「正直がっかりしました」と連絡がきたときは、胃が締め付けられて吐きそうになった。

 

その方が私の熱意と真っ直ぐさに賭けてくれていたのは伝わっていた。それをあっさり裏切ってしまった。あちらの失望感がメールの文面からありありと溢れていた。とんでもないことをしてしまったと蒼白になった。

 

震える手でその方に電話をかけて震える声で謝った。メールで伝わってきた失望感は電話からは伝わらず、その方は怒っていたけど同時に心配してくれていた。「頑張っているのは知っているから、無理なら無理ってちゃんと言ってくれればいい」と。ありがたさと申し訳なさでえぐえぐと泣きながら、私はもう一度だけチャンスをもらえた。

 

あれは夏前の出来事だったけど

いま思い出しても心臓がバクバクする。

 

誠実であること、人との約束を守ることは、簡単なようでどうしてこうも難しいのだろうと、人からの信頼をひとつ失くすたびに自問自答して自己嫌悪に陥る。

 

フリーランスは、会社にいた時以上に「私」が試される感覚がある。会社にいたとき以上に「『私』が仕事を任されているんだ」と強く感じる。相手の期待も失望もダイレクトに私へと届く。感情の振れ幅が大きい私は、その度に激しく喜び、激しく落ち込む。

 

 

 

 

フリーランスに向いていない」

そう感じた理由を3つ書いてみた。

もはや理由になっていないけど書いてみた。

 

逆に言えば、それ以外はわりと「フリーライターになって良かった」と感じることばかりだった。

 

昨日、お世話になっている編集さんと電話でお話して「今年も真崎といっしょに面白いものをつくりたいです!!」と言われたとき、感動して泣きそうになった。トイレで。「私も一緒にいいものつくりたいです!!」と大きな声で返した。トイレで。

 

こんなどこのすね毛かも分からない私を、立派なライターとして育ててくれようと真剣に向き合ってくれる編集さんたちがいる。一緒に仕事をしようと言ってくれるキラキラビジネスパーソンな皆さまがいる。それが本当に嬉しくてありがたくて、すくすく伸びたい私がいる。

 

1989年9月11日生まれは組織不適合の宿命を背負っているらしいのでフリーランスを選んだのもきっと正解。誕生日には抗えない。諦念しか出てこない。

 

なにより、書くことは楽しい。

それは私の中の私が「間違いないわ」つって未だに明言してるからきっとそう。

 

 

結論、私フリーライター向いている。

 

私がそう思うからきっと向いている。

予想通りでしかないオチに関西人ならどん引き。

なにより私が引いてる。

 

 

とりあえず、引き続きライターがんばります。

ぜひお仕事ください(初心忘れず)。

 

真崎

 

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