真崎です

沖縄にいます

東京には戻らない。東京には戻れない。

 

 

 

そんなことがあったよ。

 

今住んでいるシェアハウスの家主に突然「あ、このシェアハウス年内か年明けくらいに那覇豊見城あたりに引っ越そうと思います」と告げられ絶句。

まだ4ヵ月ー。やっと安定期入ったとこー。

 

ボランティアで週3は沖縄市に行くため、那覇豊見城だとちょいと不便。急いで次の住居を探さなければ。 

 

いそいそと沖縄シェアハウスの住人募集を探し始める。そんなときに、東京にいるライター佐々木ののかからこんな連絡がきた。

 

「最高の物件が見つかった。これリアルな勧誘なんだけどさ、東京でシェアハウスしませんか、まじで」

 

まじか。

 

 

あまりにドンピシャなタイミング。「これはもしかして天が私に"東京帰れ"って言ってる? え、そういう感じ?」なんて思った。

 

移住前に「沖縄には永住するの?どのくらい住むの?」と耳からバナナが出るほど聞かれていて、その度に「1ヵ月~一生」と伝えていた。沖縄移住するなんて去年は微塵も想定していない。自分の衝動がいつどのように疼くのか自分でも予測不能なので、どの場所にどのくらいって質問にカッチリした返答をするなんて嘘つきと泥棒の始まりです。

 

沖縄が嫌なんて感情はなく、むしろ最近は「あ、今とてもいいな」と感じている。沖縄という環境、ここで繋がった人、仕事、すべてが自分にうまくフィットしていくような心地のいい感覚。

 

一方で「だから沖縄に永住します」というつもりも相変わらずなく、もし何かしらのタイミングと自分の衝動が重なったら私はきっと動く。

 

newspicks.com

 

土地への愛着を生むものは、「人」だ。

 

会いたい人がいるから

一緒にいたい人がいるから

大好きな人たちがいるから

 

私にとって、その場所が大切になるんだ 

 

 

エモーい。

 

自身のエッセイに書いたこの文章は、私が沖縄移住して得た1番大きな気付き。

 

人が居場所になるなら、親しい友人が多く住む東京は間違いなく私のホーム。中でも関係性の深い佐々木ののかと愉快な仲間たちで一緒に住めるなら、きっと家での暮らしは今よりずっと楽しくなる気がする。

 

 

さらに、東京でシェアメイトになる予定の女性が私に聞く。

 

「真崎さん、高円寺在住の独身イケメン社会不適合男子はすきかな」

 

すきです。

 

 

本気で迷った。

沖縄か、東京か。

 

「まだ沖縄に来たばかりだから」

「勢いよく東京出ちゃったから」

 

なんて言い訳がましい断り文句は一旦ナシ、フラットな気持ちでこの選択と向き合うことにした。

 

 

 

私の迷いに「東京と沖縄で2拠点生活すればいいじゃん」とアドバイスしてくださる方々もいたので考えた。その結果「いや2拠点はないな」と思った。

私の性格上、仮に東京に拠点を持ったらもう沖縄にはほぼ来ない気がする。あるいは「いちおう2拠点生活やってるしな…」って惰性でしぶしぶ移動を重ねる未来が見える。

 

 

私の周りは、ぶっちゃけ「東京推し」が多かった。

 

東京に住む友人はもちろん、Twitterで絡んでくれるフォロワーさんたちからも東京へ戻ることをわりと勧められた。

 

「今後のキャリアを考えれば東京でしょう」

人も情報も会社もチャンスも、東京には至るところに転がっている。確かに今後のキャリアを考えると東京が有利かもしれない。でも、

 

「そのメンバーでシェアハウスは、今しかできない」

そうかもしれない。シェアハウスは気の合うメンバーとするから楽しいと個人的に思っているので、家のことだけを考えるなら、正直圧倒的に東京なのだ。でも、

 

でも、

 

 

でも、

 

でも、

 

 

 

なにが、「でも」なんだろう。

 

 

 

 

 

 

私が動くときは、いつも衝動。そして即決。

 

会社を辞めてフリーライターになるときも、東京を離れて沖縄移住するときも、現状維持以外の選択肢が浮かび上がって「これだ!」と衝動的に飛びついた。現状維持より変化を選択することにワクワクした。

 

裏を返すと、ワクワクする選択肢が出てこない限り、私は現状維持を選んでいた。

 

今回のケース。

これまでのセオリーでいけば、もし東京を選ぶなら選択肢が出た時点で「これだ!」と飛びつくのではないか。メリット・デメリットなんて考えず、すぐにでも沖縄を発つんじゃないか。

 

東京行きのメリットをどれだけ挙げられても、私の心が「でも、でも、」と片っ端から打ち返す。

 

なんで?

 

沖縄と東京、どちらも魅力的な選択肢でしょう?

衝動で即決できないぐらい、今回は双方が魅力的すぎるんでしょう?

 

ねえ、そうでしょう?

 

 

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「ののかちゃん、ごめん、私分かったかも」

「なになに?」

 

 

 

「わたし、東京戻りたくないみたい」

 

「うん 」

 

 

 

「沖縄にいたい、よりも、東京に戻りたくないみたい」

「うん」

 

「思ったより、東京に疲れてたみたい」

「うん」

 

 

「東京にいるとさ、私たぶんまた"頑張らなきゃ"って苦しくなりそうで」

「うん」

 

「仕事を頑張っていて、貪欲にスキルを磨いて、成果を出して、お金をしっかり稼いで、有名になって、人の役に立って、自分の夢や野望を実現して」

「うん」

 

「そんな立派な人たちと自分を、また勝手に比較して、"私も頑張らなきゃ"って苦しくなりそうで」

「うん」

 

 

「沖縄にきて、楽になったの」

「うん」

 

 

「人と比べることが減ったの」

「うん」

 

「なんか息がしやすくなったの」

「うん」

 

「のんびり仕事できるようになったの」

「うん」

 

 

「だから」

「うん」

 

 

 

いま、東京に戻るのは、怖い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「正直、私も真崎さんは沖縄だなと思う」

 

ひと通り話を聞いてくれた後、佐々木ののかは言った。

 

僭越ながら、彼女がどれだけ私と一緒に住みたがっていたかは痛いほど知っている。彼女のこの言葉は、彼女自身の願望に逆らった最大限の優しさだった。

 

 

"東京に戻るのは、怖い"

 

こんなことを思っていたなんて、自分でもまったく気付かなかった。気分で沖縄にきたけど東京のことは大好きだったし、また戻る可能性も大いにあると思っていた。

 

 

違った。

私は、私が思っていた以上に、東京という大都会で疲弊していた。

 

 

悪いのは東京じゃない。東京にいる人じゃない。

誰かに強制されたわけでもなく、勝手に人と比べて焦って走って止まってダウンしてしまう、自分の弱さだ。

 

 

会社を辞めてフリーランスになったこと

東京を離れて沖縄移住をしたこと

 

「真崎さんは、自分の芯をしっかり持って行動しているんですね!」

 

なんて言われることは、とても多い。

 

 

逆だ。

 

本当は誰よりも他人の顔色を窺い、評価を気にして、他者比較してはすぐ「私はなんてダメなんだ」と自責する、自信があるようで実はない、芯の弱い人間なのだ。

 

そんな自分を変える努力をしろと、2年間の会社員生活で何度も言われたし何度も思った。

でも、変わろう努力しようと思えば思うほど、苦しくて息が詰まっていつも泣いていた。

 

 

自分を変えられないから、環境を変える。

 

比較と自責と劣等感に襲われる、会社から、東京から、逃げる。

 

 

幸い環境変化に対するストレスが小さいので、自分より環境を変えるほうが、自分の健康を保つ手段としてずっと手っ取り早い。

弱い私なりの、最適な生き方がこれだった。

 

 

沖縄移住を決めた気分と衝動。

その奥には「東京から逃げたい」という気持ちが、確かにあった。

 

そんなことを、移住から5ヵ月も経ったこのタイミングで初めて気付いた。

 

 

 

 

無事に、次の家(ただし仮住まい)が見つかった。

やったねビバロック。 

 

 

最近はあまりバリバリ仕事をしていない。週に2~3本原稿を書いて、あとはわりとのんびりしている。

妙な焦燥感はだいぶなくなった。「こういうブログみたいなエッセイを書く時間がいちばん好きだなあ」と改めて感じていて、そんなお仕事や、作品として形に残すチャンスを探している。

 

沖縄にきてよかったなと、いま心から思っている。

 

 

胸がドキドキソワソワするような出会いや刺激や焦燥感で、私を育ててくれた東京。

 

まぎれもなく、大好きな街だった。

 

 

もう。

まだ。

どっちだろう。

 

 

分からないけど、私は

 

 

東京には、戻らない。

 

東京には、戻れない。

 

 

 真崎

 

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