「今日バジャウ族が住む村に行くんです。来ます?」
セブ島に住む日本人のフリーカメラマン女性・まゆゆにそう誘われたのは、セブ島到着から1時間後。
午前6時の会話でわたしの意識は朦朧としていたのだけど、彼女のお誘いで一気に覚醒した。
到着早々、セブ島の民族と交流できるなんて。
「行きます」
当然。
「で、バジャウ族って?」
しかし無知。
「セブ島の日本人レポーターといっしょに『セブスタチャンネル』っていう番組配信をしているんです。この番組で、バジャウ族と一緒に生活する日本人青年の取材を以前させてもらって」
と、上記の動画を見せてもらった。
この動画を見て分かったのは
・バジャウ族は海の上に家を建てて暮らしている
・海にもぐって魚や海藻などの食糧を採って食べる
・そこで生活する「ヒロム君」という日本人がいる
・村には子どもがいっぱいいる
・かわいい
です。(小並感)
せっかくなので村に行く前に予習をしておこうと「バジャウ族」でググると、1番目に出てきたのが「ヒロム君」のはてなブログだった。
このブログを読んで、バジャウ族について知ったことをさっくりまとめると
・マンバリンという地域の海沿いに家を建てて住む部族
・「無国籍の漂流民」と呼ばれている
・現地人でも「バジャウ族」と関わる人は少ない
・というか、関わることを避けている
俺がバジャウ族と一緒にいるって事をフィリピン人に話すと
『マジで!?あんなやつらと一緒に寝てんの?やめとけよ、、、』
『あいつらは汚いし臭いし仕事もしないで物乞いばかりしている』
『ドラッグ中毒のやついっぱいいるし、物盗むやつもいっぱいいるしあいつらのことは信じるな』
など、あることないことネガティブな事ばっかり言われ俺までバカにされる事も少なくない。
(【驚愕】松田大夢がセブ島で一緒に生活してる『リアル半魚人バジャウ族』って何!? セブ島のバジャウ族のその実態とは - 🌏松田大夢のクソバカ地球滞在記🌏 より引用)
「バジャウ族の住む場所は、セブ島でもディープ中のディープなところです。海外からセブ島にきて5時間後にバジャウ族の村に行った人は、たぶん真崎さんが初めてだと思います」
トライシクルという人力チャリタクシーに乗ってガタゴトと揺られながら、まゆゆが話す。初めてかもだって。照れるね。///
突如出現、プリケツ全裸ボーイ。
「子どもが多いですね」
マンバリンの町を走りながら聞く。
「性の知識や避妊・中絶などの技術が浸透していないですからね。性行して子どもができたら産む。1家族の子どもの人数も多いですし、平均寿命も65歳くらいなので、セブの平均年齢って20いくつかなんですよ」
「若っ」
そんな話をしているうちに、トライシクルが止まる。
「着きました」
着いた。
バジャウ族の住む、海の上の村。
子どもたちがたくさんいた。
みんな興味津々な顔でこちらを見ている。来る途中でガンガン物を売ろうとしてくる女の子に出会って戸惑ったこともあり、どんな風に関わったらいいかなと考える。
すると、ひとりの女の子が手をふってきた。
反射的にニッコリ笑って手をふり返した。
超うれしそうに照れた笑顔を見せてくれた。
連れ帰っていいかな。
「What's your name?」
かわいらしいハイトーンの声で聴かれた。
「I'm Mutsumi」
「ム?」
「Mu tsu mi」
「ム チュ ミ」
「Mutsumi」
「ムチュミ」
連れ帰っていいかな(2回目)
左の金髪ボーイがヒロム君。21歳。
この日は村にあるヒロム君の家でカレーを作ってみんなで食べる予定だったので、さっそくお宅訪問のはこびになったのだけど。
「この板のうえを渡って行きますよ」
おうふ。
高所恐怖症&平衡感覚のわるいワテ。しかも板は場所によってガタガタ揺れる。なんなら「たまに抜けたり折れたりします」らしいから神様ご加護をください。
板の橋、下からの高さはたぶん2mくらい。怖すぎ。
下には海。でも、水は黒い。
都市開発の影響でゴミがたくさん流れてくるようになったらしい。10数年前までは澄んでいた海が真っ黒になってしまったそうで、悪臭もする。
親切なバジャウ族ボーイの手をがっしり掴みながら、震える足で歩を進める。そしてたどり着いたヒロム君のおうち。
激オシャ。
ヒロム君のセンスよ。
家には、ヒロム君の親友・デンジくん(26)と、妻と子どもたちがいた。
いちばん仲良くなったのは、ジュマイリン。
まゆゆたちが取材をしている間、ボーっと座っていたわたしに話しかけてくれた。言葉は理解できなかったけど、ずっと鼻のひだり横をツンツンしている。
あ。
同じところにホクロがあるね。
「おー!セイムセイム!」とわたしも鼻のひだり横をツンツンする。すると恥ずかしそうに妹のほうを向いて笑っている。なんなのみんな。かわいすぎかよ。連れ帰っ(以下略)
右の女の子はカイラ。ジュマイリンの妹。
ふたりで手を出しながら私に向かって「イーチ、ニーイ、サンシーゴ!イーチ、ニーイ、サンシーゴ!」と1から5までの歌を嬉しそうにうたってくれた。
せっかくなので私から「ローク、ナーナー、ハチキュージュウウウウ!!!」と続きを教えておいた。10のテンションはちょっと情緒不安定ぎみに。子どもたちが素直に「ジュウウウウ!!!」ってやる姿を見てこころが痛んだよね。
バジャウ族の子どもたちはとってもキュート。カメラを向けるとみんなすぐにポーズをとってくれるの。
はあああああん (深めの吐息)
わたしは沖縄のコザで子どもと関わるボランティアをしているのだけど、そこで出会う子どもたちは最初にもっと警戒心を見せてくる。
「目の前のおとなは誰だろう。興味はある。でもどう話しかけよう。話しても大丈夫なひとかな。どう関わったらいいかな」
そんな声が聞こえてきそうな様子で、なじみのあるスタッフに「ねえ、この人だれ?」と聞く。こちらから話しかけると俯いて返事の歯切れが悪くなる。1日かけて関わったら、ようやく警戒心をちょっとといて次から話しやすくなる。
バジャウ族の子どもたちは、最初からガンガン絡んでくる。
名前を聞いて、歌をうたってきて、遊びに誘ってくれて、ハグや抱っこを求めてくる。何をするときもすごく嬉しそうで楽しそう。
子どもがたくさんいる場所には活気がある。
無邪気な子どもたちには、人のこころを元気にしてくれるパワーがある。
貧困や差別。きっと問題もたくさんあるかもしれないけど、少なくとも昨日わたしが見たバジャウ族の村は明るい声と笑顔がたくさんあった。
もれなくオッサンも笑顔。
言葉は分からずともわたしに「これココナッツワイン。飲もうよ。もはやイッキしようよ」って言ってるのは分かった。4杯イッキした。
お祝いの日なので昼間からのお酒も無礼講ってわけな。おっけー(たぶん違う)
新郎新婦の顔があまりにも強張ってて微笑すら見せないので「なんなの。望まれない結婚なの。愛なき政略結婚なの」などまゆゆといろいろ勘ぐってしまった。
違った。ごめんなさい。
「新婦は結婚式で笑顔を見せてはいけない。これがバジャウ族の掟なんです」とヒロム君が教えてくれる。誰得のオキテー!と思ってしまったけど、そういうもんなんだね。とりあえずちょっと安心した。
そんな感じで、バジャウ族との時間は終了。
楽しかったな。
また行きたいな。また子どもたちと遊んだりオッサンとココナッツワインのイッキしたりしたいな。
満たされた気分で、帰りもトライシクルに揺られる。
そして、ふと振り返る。
ついてくるプリケツ全裸ボーイ。
またね。
あと10年後には隠そうね、その陰部。
真崎
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