母「なあ」
私「ん」
母「お母さんな、やっぱり1個だけお願いあるわ」
この感じ、嫌な予感。
最後の最後でなんやろ。
ここに来て「やっぱり会社に入れ」って言われたらどないしよ。
母「キャバクラは、辞めへん?」
私「えっ」
えっ
3月に会社を辞めてから1か月間親にはカミングアウトできず、GWに実家へ帰省する際に直接言おうと決意して、その結果報告記事がこちら。
私が勝手に会社を辞めて勝手にフリーランスになったことに対して一切怒られることなく「ええもなにも、あんたが決めたことやろ」とあっさり許してくれた。
元々「私が良い企業に入って安定した生活を送ること」を目的に良い大学に入れてくれたこともあり、フリーランスになったことに対して一抹の気まずさと申し訳なさを感じていたわけで。
怒られるの覚悟だったから、母の反応に拍子抜け。
安心しているそばから「でもそれだけでやっていけんの?」と聞かれ、とりあえずバイトをしていると告げ、「なんのバイトをしてるのか」と聞かれ、嘘のつけない私は正直に「朝キャバ」と伝えたところ、城崎温泉へと向かう特急列車内で、母が、盛大に、吠えた。
「あんたまたそんなことしてんの!?!?!?」
※大学5年生時に、マンションの個室で下着一枚にバスタオルを被せたおっさん相手にリンパマッサージする怪しさ満点の仕事をしていたことも母にはすべて話しており、勤務していた約10か月間母を心配させ続けていた。
でもその時は「もうほんまあんたは」と呆れた様子を見せただけで、その後は普通に温泉旅行を楽しみ、実家でも数日間ゆっくりと過ごし、最終日には母の日のプレゼントも渡し、なんだか良い帰省になった
と、思ったわ。
最後の最後の瞬間まで。
帰りの瞬間。
父とは玄関でお別れ。3年前に脳出血で倒れてまともに話せなくなっていた父が、今では見違えるほど流暢に話せるようになり、にこにこと「彼氏できたか?」と聞いてくる姿には思わず嬉しさ半分「娘の父親に対する生理的嫌悪感」半分の気持ちを抱く。
そして母が最寄り駅まで車で送っていってくれる。
たった5分間の道のり。
その車中
母が開口一番くちにしたのが最初の下り。
車の中が、一気に険悪になる。
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母「キャバクラは、辞めへん?」
私「えっ」
母「やっぱりよくないと思うわ。」
まさかの展開に動揺する私。
母「お母さんやっぱりあんたにそんな仕事してほしくないわ。朝から男の人とお酒飲むなんて普通じゃないやろ。もっと違うバイトないの?」
私「朝にできるバイトで時給高いのがそれしかなかってんやんか。昼とか夜は本職の方頑張りたいし、朝の短時間で稼ぎたいねん。別にライターの方である程度収入の目途たったら辞めるし長く続けるつもりないもん。」
母「別にお母さん「辞めろ」って言いたいわけちゃうんねんで。でもやっぱり嫌やしし心配になるやんか。」
私「それは申し訳ないと思うけど。」
母「うん、お母さんできれば辞めてほしいわ。キャバクラとか水商売は良くないと思うし子どもがそんなんやるべきちゃうわ。」
私「うちもう25やで。いつまで子どもやねん。」
母「だから別に好きにしたらええしあんたの人生やけど、でもお母さんは嫌やって、それだけは言うとくわ。お母さんやっぱり嫌やし辞めてほしいわ。朝からお酒飲むし男の人で変な人もおるやろしあんたは世間知らずなんやから危ない目に合いそうやしあとhテクマクマヤコンテクマクマヤコンテクマクマヤコンテクマクマヤコンテクマクマヤコンテクマクマヤコンテクマクマヤ分かった??」
途中分からんかった。
母の言っていることも分かる。
申し訳ない気持ちもある。
でもだからといって辞める気もない。
私「今の聞いてさ、申し訳ないって思うけど、でもだからって辞めるつもりないで。別にええけどって言われても、今の聞いてたら「辞めろ」としか聞こえ「だから!!そうとは言ってないやろ!!お母さんは「こう思う」っていう気持ちを言ってるだけやろ!!「辞めろ」なんてひと言も言うてへんやんか!!「辞めてほしいと思ってる」って言ってるだけやんか!!」
…
…
沈黙。
あっという間に車は駅について「ありがと」「ん」「ほなまた」「元気でね」の短いやり取りで終了。
帰りの電車と夜行バスはただただ悶々とする。
楽しい帰省の最後がこれじゃ気分台無しやん、と母に対する苛立ちが募る。
そして、思った。
「あんなん、ずるいわ」
命令されたわけじゃなく、でも「お母さんはこう思っていて娘がこんなんしていたら嫌やし心配やし悲しい」みたいなことを並べられたら、「反発心」と同時に「申し訳なさ」も湧くし、なんなら「凄まじい親不孝感」も出てきて非常に忍びない。
親が、親不孝感煽るとか、ずるいわ。
子どもにとってはめちゃくちゃきついんやで。
言葉と態度は反抗的になってても内心では結構「ごめん」て思ってるし、できればそんな風に思わせたくないってなってるんやで。
大きい声出すんも、ずるい。
25歳になっても母の出す大声は怖い。
それ以上なにも言い返せんようなる。
そして、なにより「子ども」て。
子どもて。(2回目)
とっくに成人してるし、お酒も飲めるし、車も運転できるし、会社で働いてお金も稼いだし、営業して契約とったりしたし、辞めてもめげずに転職したし、ひとり暮らしもできたし、男性とふたりで食事も行くし、(大人な関係にはならへんし)、フリーランスなって慣れへん細かい作業もなんとかやってるし、お金もろてるし、それで暮らしてるし、もうな、めちゃくちゃ自立してるからな(この辺りがクソガキ感)。
なんなん。
なんなんなんなん。
なんなんなんなん。
※なんなん=標準語で「何なの?」
ていう。(冷静)
「25年目の反抗期」の私は、心の中で母に対して中2レベルで毒づきながら京都を後にして、東京池袋へ戻ってきた。2か月半前のこと。
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3年前の今頃に書いた記事。
人間関係には「3つの関係性」があるという話。
第1の関係性は「家族」
第2の関係性は「学校・職場など」
第3の関係性は「その他」
この記事では「中学生のミキがクラスでいじめに遭っていることを話せたのは、両親でも先生でもなく「近所の池に出現するちょっと危ない感じのおばさん」だった」という重松清の短編小説を題材にした。
第1第2だと近すぎて話せないことを話せる存在が人には必要で、だから「第3の関係性」というのは必要ですよーというメインメッセージ
と、見せかけて
書きながら、メッセージを変えた。
「第3の関係性」だからできることが
近くなるとできなくなるということ。
第2、第1と関係性の順位が上がるたびに、相手に対する感情の振れ幅が大きくなり、良くも悪くも「重要な存在」であるが故に上手く関われなくなる
それは、とっても自然なことだということ。
だからあんまり自分のこと責めんとってということ。
身近な存在に対して「なんでこの人には優しくなられへんねやろ」とすごく悩んでいる人が近くにいたので、途中でそんなメッセージに変えた。
ここに来て、自分に置き換える。
なんで、親とはこうなんねやろ(中2)
元々感情的な人間ではあるけど、親、こと母親に対しては感情の振れ方が通常の5倍くらいになる。ほんの些細な声掛けに本気でイラッときたり、過保護なくらい心配されるのも重いしうっとうしいって感じてしまう。
でも、好きやし尊敬してる。
昔はできひんかったけど、これからは結構仲良くしたいと思ってる。
でも、いやや。(駄々っ子)
ずっと一緒におったらぶつかるし傷つけ合うし気持ちがどっと疲れる。
キャバのことも、余計なお世話やと思ってるし、いつまでも子ども扱いせんといてってそっぽ向きたくなる。
でも、まったく心配されへんかったらと想像すると、それはそれで、なんかちょっと、物足らん。(末っ子)
改めて、親子って特殊すぎるわ。
なんなんやろなこれ。
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お盆間近。
GW以来初めて、母からメール。
何事もなかったかのような文面。
「お盆帰ってくるよね。どこ行く?
温泉か鳥羽」
なにこの2択。
琵琶湖になりました。
真崎
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