「闇を抱えたビジュアル系ミュージシャンみたいな見た目の方やなぁ」
編集長パイセンの第一印象。
ラルクのyukihiroに笑えるほど似ている。
(見た目は yukihiro )と書けば簡潔に終わるけど通じない可能性も結構あるから書けない世の中 #とてもつらい
— H "𝚊𝚛𝚊𝚢𝚊" Takahashi (@51__araya) 2016年4月22日
(編集長パイセン)
この1年間で最もお世話になった方なので、感謝の気持ちも込めてパイセンから学んだことをまとめてみようと思う。私が下手な文章でヘタな内容を書けばパイセンの株も暴落するプレッシャーで既に吐きそう。
目次
0. パイセンとの出会い
1. 俺は上司ではなくパイセンやからな
2. このタイトルで誰が記事読むねん
3. お前の文章は漢字だらけで硬すぎる
4. お持ち帰りされたかったらシェリーを頼め
5. 文字起こしまとめみたいなお前の取材記事をちゃんとフーリエ変換しろ
6. 全部できんでええねん、そのための「チーム」やろ
0. パイセンとの出会い
「私、このままじゃライターとしてやばい」
そう思い始めたのは昨年の7月某日。朝キャバのお客さんとテキーラの飲み比べをして盛大にリバったトイレの中だった。
朝キャバの売り上げと朝キャバネタのブログ記事PVを伸ばす一方でライター収入や実力は一向に伸びた気がしなかった私は、どこかの会社に潜入して誰かに直接ライティングの指導をしてもらおうと考えた。
そして、Wantedlyで目ぼしい求人を貪っていて発見したのがこの記事だった。
スマ活(※現在はLIFE SCOPE)は60万人の就活生全員が、周りに流されず自分なりにキャリアを築くように意識づけること。読んだ人を動かすことができる記事を増やしていきましょう。
「人の心と足を動かす文章を書きたい」と息巻いていた当時の私はこの言葉に心がドキドキそわそわした。
ライターとして応募しているのに、プロフィールがスカスカな人も少なくありません。情報がなさすぎて、何も判断できません。「まずは会って、話してみて見極めてください」っていうポジションじゃないですよね?
プロフィールがスカスカだった私は急いで全項目を埋めた。そして「はっ!まんまと行動させられた!」と素直に感動し、この記事を書いた方に「私もこの記事みたいに人の心と足を動かす文章を書きたいです!!」とエモいメールを送って応募した。
面談担当が、その求人文章を書いた編集長パイセンだった。
闇をかかえた(以下略)な見た目で驚くほど早口、書く仕事を始めてから7年、理系出身で非常に論理的、理詰めで人を潰せるタイプ、散らかった情報を綺麗にまとめるのが得意、ライティング以外にも作詞作曲や動画制作などもこなすモノづくりのオールラウンダー。全体的に私と正反対な印象を受けた。早口が唯一の共通点だった。
この人とやっていけるだろうかと不安になりつつ、無事に採用された。後々理解したが、一緒に記事をつくる上で、この「正反対」が非常に重要だったらしい。
1. 俺は上司ではなくパイセンだからな
上司様から「ナイスハッカソン」という挨拶が来て震えている
入社直後に投稿したこのつぶやきを見たパイセンは「俺は上司様じゃない」と私に言った。じゃあ誰ですかと突っかかったら「ちょっとだけ経験の長いパイセンや」と言われた。その日から編集長パイセンは編集長パイセンになった。
パイセンの中にある想いは「良いモノ・面白いモノをつくりたい」ただそれのみだった。よって良いモノづくりを阻害する全ての要因を排除したいとよくよく語っていたパイセンは、「上司・部下という面白くない上下関係(パイセン主観)」を早々に排除した。
わたしの特性を知ってか知らずか分からないが、これは非常にありがたかった。「1年間は文句を言わず上司の言うことに従え」という英才教育を施す会社であっさり心を病んで2か月で退職した私は「上司・部下」の関係性にトラウマしかなかったからである。
敬語は崩さなかったが、パイセンとは非常にフランクに話せた。私の生意気な意見も文句も聞いてくれて、対等な目線で議論し合える環境をつくってくれた。
2. このタイトルで誰が記事読むねん
『「あの頃のゲーム」を超える「これからのゲーム」は僕らがつくる。開発のプロと全国の熱いゲーマーが集うハッカソン開催』
これは、私が入社後に初めて書いたハッカソンPR記事である。そしてこのタイトルは、パイセンと隣に並んでチャットワークで2時間アイデアを飛ばし合いながら作成した。
「どんなタイトルが正解かは俺にも分からん。ただお前がつけたタイトルでは誰も読まへんのは分かる」
私が提出した初稿のタイトル【ゲーム好きな学生向けハッカソン開催】を見たパイセンは苦言を呈した。戸惑った。それまでタイトルの重要性を意識したことがなかった。(ライターとして致命的なやつ)
アイデアをぶつけながら完成したタイトルを見て「これならペルソナに刺さるし情熱を感じる」と言ってくれた。それまでペルソナの意味を知らなかった。(勉強不足すぎて恥なやつ)
そのときからタイトルづけの意識が変わった。読んでほしいターゲット像と記事のメッセージを明確にして、SEO記事であればキーワードも組み入れつつ、短く明文化するよう心がけた。
3. お前の文章は漢字だらけで硬すぎる
本日は提出した記事を見たハイスペック編集長パイセンに「真崎の文章は漢字が多くて固い。どう見せるかで漢字・カタカナ・ひらがな使いのバランス調整するのはウェッブライターなら当然というか「そんなんでお金もらおうとしてんの?」レベル」というお達しを受けて戦々恐々としたday。
前章の「苦言を呈した」は、ブログならともかく就活メディアに載せる記事だったら「注意された」とパイセンに変更されたかもしれない。
「お前の記事は漢字が多すぎやし変に難しい言葉使おうとするから硬すぎる。南無妙法蓮華経みたいに漢字続きになっても気にならん感覚はおかしい」
図星だった。漢字を多用して難しい言葉を使ったほうが頭良さそうやしなって思って文章書いてた。(エゴとバカ丸出し)
私のくだらない虚栄心はさておき「読者が読みやすいかどうか、読者にどんな印象を与えたいかをきちんと考えろ。それに合わせて表記や単語を使い分けろ」とのアドバイスだった。
4. お持ち帰りされたかったらシェリーを頼め
真崎「パイセン」
パイ「ん」
真崎「最近何回かデートしてる人おるんですよ」
パイ「真崎もついにか」
真崎「いつもバー行くんですよ」
パイ「おお、その後なんかあるんか?」
真崎「ないっす。午前2時頃に解散っす」
パイ「お前それはアカンやろ。お持ち帰りされたかったらシェリーを頼め」
真崎「なにそれ」
パイ「相手が分かる奴やったら"今日はOK"って伝わるから、次のデートで試してみろ」
真崎「いや、いいっす」
5. 文字起こしまとめみたいなお前の取材記事をちゃんとフーリエ変換しろ
今度は構成編で、いきなり出てきたのはフーリエ変換。右側で話している編集長パイセンは記事を編集するときガチで「これはフーリエ変換が云々」と言ってて当時はとても奇妙でした。#理系ライター講座 pic.twitter.com/ZD5VYizZS2
— 真崎 @沖縄🌴 (@masaki_desuyo_) 2016年4月16日
「お前、この記事でなにが言いたいの?」と、インタビュー記事の初稿を見たパイセンにこの言葉を何度も突き付けられた。
「~~な理由ってタイトルやけど、その理由を30秒以内に答えろ」と、タイトルと内容が噛み合っていなかったときに詰められた。
「お前、結局聞いたこと時系列にまとめてるだけやんけ」言い返せずに小声でサーセンと謝った。
インタビュー記事をまとめるのが病的に下手で詰められっぱなしだった私に、パイセンはいつも「ちゃんとフーリエ変換しろ」と言ってきた。フーリエ変換とは、実変数の複素または実数値函数を別の同種の函数に写す変換である(wikipediaを棒読み)。
ここでパイセンが言うフーリエ変換は「で、要はなにが言いたい記事なの?」ということである。
書き手の想いがほとばしってものすごく情報量が多く筋の通っていない記事を書いてしまうことがあるけど、そんな時には「ほとばしる想いを一回フーリエ変換する」らしい。要は「何が言いたい記事なの?」を考えること。#理系ライター講座
— 真崎 @沖縄🌴 (@masaki_desuyo_) 2016年4月16日
インタビューは情報がとっ散らかる。
その中から、最初に核となるメッセージを決めろ。
その核をもとに背骨を通せ(=筋が通るよう全体の構成を考える)。
あとは必要な情報で肉付けしろ。
見切り発車で記事を書き始めて迷子になってしまう悪癖のあった私は、パイセン流の「フーリエ変換的」記事作成方法を今も愚直に守っている。
そして内心「やたら理系用語を多用しよって」と毒づいている。(ほかにも因数分解や量子力学の話があったが面倒くさいので割愛)
6. 全部できんでええねん、そのための「チーム」やろ
「最後は理屈じゃなくて魂」みたいな、理系要素ゼロの熱いメッセージになってきた。#理系ライター講座
— 真崎 @沖縄🌴 (@masaki_desuyo_) 2016年4月16日
真崎「パイセン」
パイ「ん」
真崎「この前、別の編集者さんとこで原稿書いて提出したら、めっちゃ赤入れ丁寧にしてくださって、血文字みたいになった原稿返していただいたんですよ」
パイ「うわーその編集さんの気持ち分かるわー真崎の原稿ツッコミどころ直しどころ多すぎやからなー俺も大変やからなー」
真崎「サーセン」
パイ「日本語くらい正しく使ってほしいわー」
真崎「サーセン」
・
・
・
真崎「パイセン」
パイ「ん」
真崎「私もっといろんなこと出来るようならなアカンなーってちょっと焦ったんですよね。良い企画出すのもキレイな構成も上手なタイトルづけも影響力持って拡散するのもデータ解析とかも」
パイ「……」
真崎「じゃないとライターとしてアウトな気する」
パイ「俺はそうは思わんなあ」
('ω')
パイ「正しい日本語で文章書くのは大前提な。で、もちろんなんでも出来たほうがええし、ライターにはそれが求められてるかもしれん」
真崎「ウス」
パイ「でも、俺は求めん」
真崎「ほ」
パイ「お前がなんでも出来るライターなら、俺らがチーム組む意味ないやんって俺は思うけどな」
真崎「チーム?」
パイ「俺は、情報整理とか構成、ペルソナに合わせた見せ方を考えるのが得意で」
真崎「ウス」
パイ「お前は俺が得意なやつが苦手や」
真崎「ウス」
パイ「特に整理整頓が下手」
真崎「ウス」
パイ「部屋汚いやろ」
真崎「ウス」
パイ「ただ、たまに特大ホームラン打つやろ」
真崎「ホームラン?」
パイ「お前の強みは、人を惹きつける文章を書けるところ。共感の波を起こしたり、あとは単純におもろかったりな。職人よりタレントっぽい」
真崎「ウス」
パイ「俺は裏方に徹する職人派」
真崎「ウス」
パイ「お前の情熱は人に届く。だから、お前は書きたいと思った記事を情熱込めて書いて、俺はその記事がより届きやすくなるように整理してタイトルも考え直す」
真崎「ウス」
パイ「俺がフォローできるから、お前は空振り三振を恐れんと特大ホームラン狙って毎回おもいっきり振り切れ」
お互いの想いや情熱は共有して、モノづくりの過程で出てくる苦手なことは得意なチームメイトに補ってもらって、一緒にええモノつくったらいい。
パイ「そのためのチームやろ」
真崎「ウス」
言うのも憚られるほどのド基礎から、パイセンには本当に多くのことを教わった。6つでは収まらないほど教わった。
当時や今も先輩ライターさんや編集さんの指導を仰いで鍛えてもらっているので、すべての成長がパイセンのおかげな訳ではもちろんない。
でもパイセンは、ライターとしてくすぶっていた私に、すごく大切なことを教えてくれた。
それは、「誰かと一緒にするモノづくりはとても楽しい」だった。
感謝してもし尽くせない。
今はもう会社を辞め、パイセンと一緒に仕事はしていない。ただまたいつか一緒に記事づくりが出来たら嬉しいなと思っている。
そんなパイセンが、ライター・ディレクターの求人出していました。
何卒。(宣伝)
真崎
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